二人の男で Vol.3

二人の男で:「嫌だったら、言ってね」大人の男の巧妙な罠

愛するか、愛されるか。

東京の賢き女は愛されることを選び、愚かな女は愛を貫くというのは、本当だろうか。

堅実な優しい男と、危険な色香漂う男。

麗しき20代の女にとって、対極にある“二人の男”の間で揺れ動くのは、もはや宿命と言える。

そんな彼女の苦しみが、貴方には分かるだろうか。

主人公の詩織・29歳は、自分を溺愛する年下の男・正男と半同棲中の平和な生活を送っている。しかし、余裕溢れる年上の男・英一郎に強引に口説かれ、徐々に気持ちが傾いていく。


恋人の正男の熱い体温に包まれながら、詩織は心と身体が分裂するような感覚に陥っていた。

深夜に突然不躾な電話を寄こした英一郎の低い声が、鼓膜に残っている。

一日中仕事で酷使した身体は、ひどく疲れているのに、眠りはなかなか訪れなかった。CAとして働く詩織は、不規則な生活のせいで、少々不眠症の気がある。ちょっとした刺激やストレスで、すぐに目が冴えてしまうのだ。

正男はすでに熟睡していて、まるで小さな子供がぬいぐるみを抱きしめるように、遠慮なく詩織にのしかかる。

その重みに耐え、ほとんど身動きが取れないまま、詩織は暗闇の中、英一郎の自信に満ちた口調や、計算高そうな目つきを思い出していた。

―私、どうしてあの人のことばかり考えてるの......

初対面での暴言や、堅物の詩織をからかって面白がるような態度。

あの種の年上の男が、基本的に女に不自由しないであろうことは詩織にも分かる。日常的に若い女にちょっかいを出し、火遊びのような関係を楽しんでいるのだろう。

―あんな人に簡単になびく女なんて、最低だわ......

詩織は正男への罪悪感や自己嫌悪に苛まれながら、長い夜を過ごした。

【二人の男で】の記事一覧

もどる
すすむ

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ
Appstore logo Googleplay logo