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  • いい女の条件 Vol.2

    いい女の条件:同期会の帰り道。「もっと甘えたらいいのに…」の一言に、揺れる想い

    失恋を機に変わった、働きマン・杏奈の決心とは?


    葵からのLINEは、「料理教室に行かないか」という誘いだった。月末最後の金曜日、“プレミアムフライデー”のイベントらしい。

    「葉山のプライベートヴィラでやるらしいんだけど、ドライブがてら行かない♡」
    「絶対気持ちいいよ~😊」

    葵はそのイベントをとても楽しみにしているようで、こちらが微笑ましくなるほどはしゃいでいる。

    ―葵さんはいつも楽しそうでいいよな。杏奈も見習いなよ。

    剛の言葉をふと思い出す。

    好奇心旺盛で人生を謳歌している葵を、剛はとても気に入っていた。杏奈はその言葉を思い出し、「ぜひ!」とすぐ返信した。



    翌日、その イベントの招待状が届いた。


    真っ赤な招待状を手にすると、料理教室のイベントへの期待が一気に高まった。思わず写真を撮り、 Instagramに投稿した。

    料理教室は初めてだ。剛と別れた日の「伸びきったパスタ事件」を思い出して、胸がずきんと痛む。

    ―少し料理も頑張ってみようかな。

    葉山へドライブ、料理教室。以前の杏奈だったら、余裕がなくて断っていたものだ。

    杏奈の最優先事項はいつも仕事だったが、今回の失恋を機に「新しいことにどんどんチャレンジしよう」と決めていた。

    一方、葵は…?「お父さんに紹介したかった、大好きなあの人」


    葵は、この日『小笠原伯爵邸』で父親の誕生会だった。毎年行われているこの会に、最近買ったG’s AQUAで向かい、約束の時間ちょうどに店に着いた。


    「お父さん、元気してるかな」

    店には既に、いつもと変わらぬ元気な姿の父がいた。

    「葵!元気してたか」

    陽気で皆を笑わせてくれる父が、葵は昔から大好きだった。

    「葵の花嫁姿が見れるのは、いつかな」

    旺盛な食欲を見せながら、父は豪快な笑顔を向けて何度もこう言った。「分かってるよ」と言いながら少しむくれた表情を見せる。

    ―花嫁姿、ね…。

    杏奈には言いそびれてしまっていたが、葵も3か月前に彼と別れたばかりだった。社内恋愛だったため誰にも言わなかったが、お互いに真剣に付き合っていたので、結婚が決まったら父にも紹介したい人だった。

    ―光司君、元気かな…。

    葵は、会社の2つ下の後輩で杏奈の同期・光司と付き合っていた。

    ▶︎NEXT:3月3日金曜更新予定
    料理教室のイベント。絡み合う杏奈と葵、そして光司の想い。


    本当の“いい女”を目指す、杏奈のInstagramは こちら


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