失恋を機に変わった、働きマン・杏奈の決心とは?
葵からのLINEは、「料理教室に行かないか」という誘いだった。月末最後の金曜日、“プレミアムフライデー”のイベントらしい。
「葉山のプライベートヴィラでやるらしいんだけど、ドライブがてら行かない♡」
「絶対気持ちいいよ~😊」
葵はそのイベントをとても楽しみにしているようで、こちらが微笑ましくなるほどはしゃいでいる。
―葵さんはいつも楽しそうでいいよな。杏奈も見習いなよ。
剛の言葉をふと思い出す。
好奇心旺盛で人生を謳歌している葵を、剛はとても気に入っていた。杏奈はその言葉を思い出し、「ぜひ!」とすぐ返信した。
◆
翌日、その イベントの招待状が届いた。
真っ赤な招待状を手にすると、料理教室のイベントへの期待が一気に高まった。思わず写真を撮り、 Instagramに投稿した。
料理教室は初めてだ。剛と別れた日の「伸びきったパスタ事件」を思い出して、胸がずきんと痛む。
―少し料理も頑張ってみようかな。
葉山へドライブ、料理教室。以前の杏奈だったら、余裕がなくて断っていたものだ。
杏奈の最優先事項はいつも仕事だったが、今回の失恋を機に「新しいことにどんどんチャレンジしよう」と決めていた。
◆
「お父さん、元気してるかな」
店には既に、いつもと変わらぬ元気な姿の父がいた。
「葵!元気してたか」
陽気で皆を笑わせてくれる父が、葵は昔から大好きだった。
「葵の花嫁姿が見れるのは、いつかな」
旺盛な食欲を見せながら、父は豪快な笑顔を向けて何度もこう言った。「分かってるよ」と言いながら少しむくれた表情を見せる。
―花嫁姿、ね…。
杏奈には言いそびれてしまっていたが、葵も3か月前に彼と別れたばかりだった。社内恋愛だったため誰にも言わなかったが、お互いに真剣に付き合っていたので、結婚が決まったら父にも紹介したい人だった。
―光司君、元気かな…。
葵は、会社の2つ下の後輩で杏奈の同期・光司と付き合っていた。
▶︎NEXT:3月3日金曜更新予定
料理教室のイベント。絡み合う杏奈と葵、そして光司の想い。
本当の“いい女”を目指す、杏奈のInstagramは こちら
■衣装協力:1ページ目男性 スーツ¥85,000(ブリッラ ペル イル グスト)シャツ¥27,000(バルバ)ネクタイ¥16,000(フランチェスコ マリーノ/すべてビームスF 新宿03-5368-7305)2P目女性トレンチコート¥29,000 キャメルストライプトップス¥17,000 ネイビーパンツ¥17,000(すべて22オクトーブル03-6836-1825)ラベンダーパンプス¥17,000(ワシントン/銀座ワシントン銀座本店03-5442-6162)その他<スタイリスト私物>男性トレンチコート¥90,000(タトラス)スーツ¥85,000(ブリッラ ペル イル グスト)シャツ¥27,000(バルバ)ネクタイ¥16,000(フランチェスコ マリーノ/すべてビームスF 新宿03-5368-7305)その他<スタイリスト私物>3ページ目女性 黒ブルゾン¥29,000 赤ニット¥18,000 ネイビーストライプパンツ¥23,000(すべてボッシュ/東京スタイル03-6748-0336)その他<スタイリスト私物>