社内恋愛は、バレるかバレないかのスリルが2人の気持ちを一層盛り上げる。
渋谷にあるIT企業に勤める耕二(29)と真希(27)は、つい最近付き合い始めたばかり。
耕二は事業開発部に所属する長身のイケメンで、社内きってのプレイボーイ。他の女性との噂も絶えないが、真希に関しては耕二の猛アタックの末、付き合うことに。
普段は平静を装う2人だが、その雰囲気を怪しむ声もあって…?
「真希、聞こえてる?」
寝る前のLINE電話が、付き合いだしてからの2人の日課だ。耕二の問いかけに、真希は「うん」と素っ気なく返事する。
広報部に所属する真希は社内でも評判の美人だが、愛想が悪く、滅多に笑わない。今まで社内でも歴戦のモテ男たちがアタックしたが、見事玉砕した。
「私、23時までには寝たいから、そろそろ切るね」
さっさと切ろうとする真希に「最後くらいは顔を見せてよ」と懇願した。ビデオ通話ONにしているのは耕二だけだった。
「しょうがないなぁ」と言いながら、寝る前の顔を見せてくれた。真希はすっぴんでも変わらず、美しい。
「真希、めっちゃ可愛い」と言いながら、スタンプのハートマークを押しまくる。
「何言ってるの」
真希のくすりと笑う顔に、これ以上ないくらい胸がときめく。
LINE通話が終わると、耕二の携帯に新着メッセージが届いていた。隣のチームの後輩、メイからだ。
「先輩、明日ランチしません?」
真希とメイは同期だ。2人でランチしているところなんて見られたら、真希に何を言われるか分からない。少し悩んで、耕二はこう返した。
「OK。チームの後輩、一人連れて行くからさ、メイも誰か連れてきてよ」