靴と東京と私 Vol.4

ピンヒールに隠れる女性の脆さ。どんなに孤独を感じても、前に進むしか道はない

いつの時代も、靴が女性を素敵な場所へと誘う。

どんな靴を履くのか。そこに女性の今後の人生に対する、強い意思が宿る。

2017年の東京を歩きゆく女たち。

彼女たちは、人生のパートナーとして、どのブランドの靴を選ぶのか。

靴と東京と私。靴なしでは、女の人生は語れない。


【ジュゼッペ・ザノッティを履く女】

名前:凛花
年齢:29歳
職業:フラワーデザイナー
勤務地:白金(自宅サロン)
住まい:白金
好きな店:『リストランテ ラ プリムラ』『和味 大輔』『M BAR』

白金のお花教室に集う女たち


「凛花先生、今日も素敵なお花ですね。」

生まれ育った自由ヶ丘の実家を出て、白金で暮らし始めてから3年が経つ。

最初はフラワーアーティスト(様々な催し物会場やレストランを花で装飾する職業)として活動していたが、1年ほど前から時間のある日は自宅をサロンとして開放し、生徒さん達にブーケやリースの作り方を教えている。

「今日のお花は、2月の誕生花と言われているフリージアです。こちらをメインに、アレンジして行きましょう。」

本日の生徒さんは、近隣に住む20代から30代の女性5名だった。色香を振りまきながらも、どこか控えめな美しさが漂う黄色のフリージアを見ているだけで心が安らぐ。生徒さん達も、目を輝かせて綺麗に咲き誇るフリージアを見ていた。

約1名を除き...

「凛花先生、今日のお花はどちらから仕入れたんですか?」

常識のある人ならば聞いてこないような質問を平然と口にしてきたのは、最近教室に通い始めた加奈子だ。正直に言うと、私は加奈子のこの傍若無人なところが非常に苦手である。

「仕入れ、ですか...」

大阪出身だという加奈子は、濃い目のメイクに派手な巻き髪。身につけている装飾品はいつもブランド名が一目で分かるような物ばかりで、“慎ましい”という言葉が似合わぬ女性だった。

関西の地主の娘だそうで、優雅な暮らしぶりが伺えるが、仕事は“トータルライフプロデューサー”。実態がよく分からぬ。(初めてその職業を聞いた時は、「何その仕事!?」と思わず突っ込みたくなった。)

「やだぁ、加奈子さん。そんなこと聞くなんて品がないですよ。」

白金のプラチナ通りから少し奥まった所に住む、白金マダムと呼ぶのに相応しい気品が溢れる博子さんが助け舟を出してくれたが、加奈子は値踏みするような目つきで、終始可憐なフリージアを見つめていた。

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