チヤホヤされたい東京妻 Vol.10

華麗なる世間知らず妻。母から教わった、結婚生活の秘密のルールとは?

結婚して妻になった途端、女はオンナでなくなるのだろうか。

かつてはあれほど自分を求めた夫も、結婚後は淡白になり、ただ日々の生活を営むパートナーになった。

外見に気を遣い、綺麗な女であろうとしても、褒めてくれるのは同じ主婦ばかり。

妻でありながらも葛藤を抱える、豊洲在住の遥、港区在住のマキコ、目黒在住の亜希、光が丘在住の紗弥香の4人。

夫婦関係にもさほど悩みを持たず、世間を知らずに過ごしてきた目黒在住の亜希。

子供がいないことを除けば、満たされているように見える亜希の人生だったが…


亜希は地方の造船会社の役員の娘として産まれ、小学校から東京に移り住んで四谷にある学習院初等科に入学し、そのまま女子中等科から大学まで進学した。

2人の男児の後に生まれた末の娘だからか、父親からは叱られた記憶があまりない。

小遣いは常にふんだんに与えられ、長期の休みごとに各地にある別荘で過ごし、テニスやゴルフを早くから嗜んだ。着飾ることの楽しさに目覚めたのもこの時期である。

こんな娘時代の生活は、端から見れば何不自由ない。というよりは、華美と評されるかもしれない。

だが、学年に1人は皇族がいるような学園で、亜希は自分の境遇が恵まれたものだとはもちろん気づかなかった。

卒業後は暫く米国へ留学し、帰国後は父の会社に籍を置き稽古事に明け暮れる生活。そんな時、東京芸術大學の工芸科で漆芸を学ぶ男と出会う。

5つも年下のその男とは、出会った瞬間に恋に落ちた。運命の人だと思えた。亜希のような世間知らずの女が運命の相手と出会えば、その先には当然結婚がある。相手の収入や将来性などはもちろんお構いなしだ。

しかし、もちろん父親が首を縦に振らなかった。殆どのことがらに関して、亜希の言うがままにしてくれた父親がきっぱりとこう言ったのを、亜希は昨日のことのように思い出せる。

「お前はね、結婚というものを何一つ分かっていないんだ。」

年齢の割には少女のような訴えをする娘に向かっての、父親の講釈は続いた。

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