今日も一人寂しい帰り道…。私より可愛くない、あの子がモテるのはなぜ!?
渋谷にあるIT企業で広報をする美和子、30歳。完璧に整った顔立ちと楚々とした雰囲気、すらりとしたモデル体型。仕事も抜かりなく、広報チームのリーダーとして完璧に仕事をこなす。
そんな彼女の悩みはただ一つ。
―“美人”と言われるのに、モテない…。
何で私は誘われないの?
何であの子の方がモテるの?
美人で仕事も完璧。そんな美和子がモテない理由とは?
「お疲れ様です。」
にこやかにほほ笑み、渋谷のオフィスを後にした。
今日も一人寂しい帰り道。2月に入り、冷え込みは一段と厳しくなった。
冬でも素足にヒールは欠かせない。美和子は、硬いアスファルトの上を、ヒールで歩くのが大好きだった。
広報として勤務する会社は比較的自由な雰囲気で、ムートンブーツやスニーカーで来る子もいるが、美和子からしたらあり得ない。ファッションの鉄則は「手」「足」「首」を出すこと。これが絶対だ。
―お洒落は、我慢。
しかしアラサーにもなると、冷え症に悩まされている子も多い。この間の女子会で盛り上がったのは、いつもの恋バナではなく、皆の冷え症対策だった。5本指のソックスを履いたり腹巻をしたり、朝起きたてに白湯を飲んだり。正直、聞くだけでぞっとした。
いくら「冷えは美容の大敵」と言っても、5本指ソックスや腹巻は、美和子の美学に反する。
しかし最近、そんな美和子の美学を揺るがす、ある異変が起こった。