部屋見るオンナ Vol.3

部屋見るオンナ:上質な人々が集う街・白金高輪。手入れ不行き届きの女に住む資格なし

あなたが東京で住みたい街は、どこですか?

なりたい自分に近付ける街、等身大の自分を受け入れてくれる街、お気に入りのレストランがある街。
そう、街選びの基準は人それぞれ。

広告代理店に勤務するサトコ(32歳)は、一体どこに辿り着くのか。

その行く末をご覧いただこう。

同棲を解消して部屋探しを余儀なくされたサトコは、友人から紹介された石神という不動産屋に会い、まずは目黒の物件を見に行ったものの、石神の失礼な態度に腹を立て...


美しい男女の前で、人はあまりに弱くなる


―もう、最悪だった。

石神と初めて会った日の夜、サトコは一人でワインを飲んでいた。

千晶から遅くなるという連絡が入ったため、リビングで一人、オリーブをつまみながらピノノワールを飲んでいるのだ。

石神はこれまでにサトコが出会ってきた中で5本の指に入るほどのイケメンであることは間違いない。だが、性格の悪さでも5本の指に入る。あのズケズケ物言う態度がサトコは苦手だ。

ただ、人間とは愚かなもので、美しいものにはどうしても弱い。男であれ女であれ、美しい存在は圧倒的に正義なのだ。

美しいものを前にすると、どんなに屈辱的な思いをさせられても、その存在に認められたいと心の奥底では渇望してしまう。特に、サトコのように優柔不断な性格の者は、その傾向が顕著に表れる。

―本当に、すごく失礼な人だった……!

心の中で悪態をつきながらも、不動産屋を変えようと思わないのは、石神を紹介してくれたのが千晶だから、という理由だけではない。

それに、石神が本当に一生懸命部屋を探そうとしてくれていることは、今日の帰り際に言われた言葉で十分伝わってきた。

目黒で別れる間際、石神はサトコの目をしっかり見つめながら言ったのだ。

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