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私、港区女子になれない Vol.1

私、港区女子になれない:高学歴キャリア女子VS男に頼る港区女子。賢いのはどっち?

女には、欲しいものを手に入れる方法が、もう1つある。


「いますよね~、ああゆう女!」

『春秋ユラリ恵比寿』で、涼子の隣の席に座る後輩・麻里子が、大げさな溜息をついてみせた。平日21:00以降でも胃もたれしない、素材の生きた優しい和食が疲弊した心と身体に沁み渡る。

麻里子は新車プロモーションのチームメンバーで、昼間の打ち合わせにも同席していた。ああゆう女というのはもちろん、浅木和磨の秘書、香奈のことだ。

「どこの港区おじさんと付き合ってるのか知らないけど。100万以上するようなバッグを他人に買わせて、罪悪感とか感じないのかな。」

香奈の生き方をとやかく言うつもりはないのだが、麻里子の言葉には同感である。

涼子は、昔の彼氏にプレゼントしてもらったものを、思い返してみる。

セリーヌのバッグ、TASAKIのジュエリー、ジミーチュウのパンプス…

それらだって十分な高級品だが、バーキンを買わせた香奈と比較してしまうと、自分が随分と安上がりな女に思えてくる。

いや、それは違う。

安い女なのはむしろ、香奈のほうではないか。バーキンを買わせるなんて、水商売の女じゃあるまいし…。

涼子は無意識に首をふるふると横に振っていたらしく、麻里子に「大丈夫ですか?」と心配されてしまった。

欲しいものは、自分で手に入れる。

涼子にとってはそれが当たり前で、そうやって今まで生きてきた。しかし女には、欲しいものを手に入れる方法が、もう1つあるのだということを思い出す。

そこまで考えて、涼子は口の中が苦くなり、目の前の生ぬるいビールを飲み干した。

…そう、男に頼る、という方法が。


▶NEXT  2月2日 木曜更新
欲しいものは男が与えてくれる。男に頼る港区女子、香奈。

※本記事に掲載されている価格は、原則として消費税抜きの表示であり、記事配信時点でのものです。

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私、港区女子になれない

港区女子。

それは“女”としての魅力を最大限に利用し、したたかに生きる女たち。

しかし東京にはもちろん、こんな女性たちばかりではない。
高学歴やキャリアを武器に、自立して生きる女性たちも少なくない。

彼女たちは港区女子に反発しながら、口を揃えてこう言う。

「私、港区女子になれない」

慶應義塾大学卒、大手広告代理店勤務の篠田涼子(29)もそのうちの一人。
彼女の目の前に、港区女子・香奈が現れ、改めて自身の生き方を問う。

涼子は果たして、香奈より幸せになれるのか?

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