2017.02.16
嫉妬を買う女 Vol.1嫉妬。
されると面倒な一方で、病み付きになる中毒性を女にもたらすこともある。
裏を返すと、される側が特別であることの証。
何も取り柄がない女が嫉妬されることは、まずない。
嫉妬されてこそ一流、という言葉もあり、口では鬱陶しいと言いつつも、女の妙薬であることに違いない。
嫉妬は、堂々と買ったほうが、人生、オモシロイ。
突然放り込まれた、華やかな世界
広報局のフロアに来て、華子はうろたえていた。
―せめて、スカートでくれば良かった……。
後悔先に立たずとはまさにこのこと。朝、クローゼットの中身をひっくり返すようにして決めたコーディネートだが、やはりここの女たちと比べると、華子には華やかさが微塵もない。
この数年、オシャレをさぼってきたツケがきっちり回ってきたのだ。
華子は、テレビ局のADとして忙しく働く27歳。だがこの春に異例の人事がくだった。それは、広報局への異動だ。
華子が配属されたのは広報局の中でも特に華やかな部署、広報部。これまで華子がいた現場とは対極のような世界だ。
さらにここには、陰で『鋼の女』と恐れられる越野部長がいる。有能だが、仕事に厳しく部下に対しても容赦ないと評判の40代半ばの女性だ。常に隙がなく、どんなに忙しい日が続いてもメイクもファッションも完璧。
越野部長の髪が乱れた姿も、7cm以下のヒール姿も、シワの入った洋服を着ている所も、誰も見た事がない。
華子は、何度かすれ違ったことがある越野部長の、まっすぐ前だけを見る強い目を思い出して、大きな溜息を吐いた。
―はぁ……気が重い。。。
広報局のドアの前でガックリ肩を落としていると、華子の背中に声がかかった。
「ちょっと、そこよろしいかしら?」
紛れもなく、鋼の女・越野部長の声だ。
【嫉妬を買う女】の記事一覧
おすすめ記事
2018.07.24
デスパレートな2人
デスパレートな2人:「3回のデート無駄じゃない?」憧れのやり手営業マンとの幸せな恋に、忍び寄る暗雲
2017.05.02
港区内格差
港区内格差:男の価値は、店選びで決まる。レストラン偏差値で測られる港区内ランク
2022.02.23
ゴシップな女ー嫌われ者のカレンが死んだー
真面目な地方の地味女が突如、インスタセレブ美女に大変貌。彼女を変えた理由とは
2018.03.25
エビージョの恋
エビージョの恋:「いつかは、別れると決めてる。」道ならぬ恋にハマった女が、恵比寿に住む理由
2018.04.02
婚活は、ビジネススクールで!?
28歳女の婚活、複数同時進行は“悪”じゃない?成功の秘訣は、少しの打算と的確な自己分析
2018.04.21
男女のAorB〜出題編〜
外見美人or性格美人。女として幸せを掴めるのはどちら?:男女のAorB~出題編〜
2020.10.18
たかが離婚、されど離婚
妻の行動を、24時間スマホで監視していたら…。夫が激しく動揺した、彼女の居場所とは
2023.08.31
男と女の東京ミステリー
タワマンのエレベーターで、初恋の女性と再会。あまりの感動に15年越しの思いが暴走し…
2017.10.07
デートの答えあわせ【Q】
2軒目のデート開始30分。彼女が「明日朝が早い」と突然帰宅したのは、ナゼ?デートの答えあわせ【Q】
2023.10.12
男と女の東京ミステリー
大手メーカー勤務の29歳男とキャンプへ。帰り道に起こった意外すぎるトラブルとは?