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  • 嫉妬を買う女 Vol.1

    嫉妬を買う女:「あなたダサいわね」鬼上司にダメ出しくらう“華やかさなき”華子27歳

    マズいことは分かっているが、数年間オシャレから遠ざかっていた華子は、どこで何を買えばいいのかわからなくなっていた。そこで、華子の友人の中でも特にオシャレな菜々香に相談したかったのだ。

    「私はね、『NOREN NOREN』っていうサイトで買うことが多いよ。上質なものが揃ってるから、ここで買えば鋼の女も一目置いてくれるんじゃないかな。全部送料無料だしね」

    そう言って教えられたサイトを、華子は早速スマホで見てみることにした。


    「へぇ~……。JIMMY CHOO、EMILIO PUCCIなんかが揃ってるんだ」

    スマホ画面を見ながら呟き、越野部長のことを思い浮かべた。

    「ダサい」と言われたのはもちろんショックだが、それよりも気になっていることがある。華子は、越野部長からまだ一度も名前で呼ばれたことがないのだ。

    そもそも話をする機会があまりないこともあるが、呼ばれる時は大抵「ちょっと」とか「あなた」だ。それが華子は悔しく、まずは部長に認められたいと思うようになった。

    越野部長はいつも完璧で、仕事に厳しく言いたい事をズバズバ言う。最初は怖いだけかと思っていたが、部長の言うことには筋が通っており、他部署の男性部長とも肩を並べて張り合っている、確かに仕事のデキる女性。それを知り、この1ヵ月で僅かながら、華子の中に尊敬の気持ちも芽生えてきたのだ。

    鬼上司の眉が、ピクリと動いた瞬間


    華子は越野部長を見返すため、悩んだ挙句菜々香に教えてもらったサイトで『MSGM』のワンピースを買った。

    「洋服はちゃんと試着して買いたいんだけど」と躊躇していると、「そんなの簡単よ。ネットで選んでおいて、新宿の伊勢丹や銀座の三越で試着して買えばいいのよ。私そうしてるよ?」とさらりと言われて、ハードルが一気に下がったのだ。

    菜々香に言われた通り、サイトで選んでお店に足を運んだ翌日、早速会社に着て行った。

    出社すると、いつものようにパソコンを立ち上げ、ハンドクリームを塗りメールチェックを終えるとトイレに立った。

    鏡に映る自分の姿を見て華子は満足した。自己満足だとわかっているが、いつもと少しだけ違う自分が新鮮なのだ。

    席に戻ろうと浮かれた気分で広報局の入り口へ向かっていると、運悪く遭遇してしまった。相手はもちろん越野部長だ。


    「おはようございます」

    動揺を隠して挨拶する。部長は華子を見ることもなく、手に持った資料から視線を外さず「おはよう」と小さく言った。

    だがちょうど華子とすれ違う時、部長の足がピタリと止まった。部長の視線は、華子のふくらはぎあたりで止まり、その後ゆっくり上へ移動し、ついに目が合ってしまった。

    ―怒られる……?!

    華子は反射的に身構えた。だが越野部長は、何も言わず右の眉を小さくピクリと動かすだけだった。

    ▶Next:2月23日木曜配信
    越野部長に相手にされず落ち込む華子。だが、社内のイケメンからデートのオファーが舞い込み……?!

    華子が『NOREN NOREN』で買ったワンピースはコレ!
    MSGM バイカラーヘビークレープドレス ¥74,520(税込)

    ■衣装協力:1ページ目/ネイビーニットトップス¥18,000(ボッシュ/東京スタイル03-6748-0336)その他<スタイリスト私物> 2ページ目/白トップス¥14,000 モノクロストライプパンツ¥23,000(ともにボッシュ/東京スタイル03-6748-0336)3ページ目/茶ブラウス¥15,000 黒スカート¥15,000(ともに22オクトーブル03-6836-1825)黒パンプス¥17,000(ワシントン/銀座ワシントン銀座本店03-5442-6162)

    伊勢丹_PC1

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