2016.12.17
五反田ラバー Vol.1
あまのじゃくな男に芽生えたのは、普通すぎる自分への焦燥感
24歳当時、健太は恵比寿に住んでいた。明治大学文学部から念願の大手出版社に就職が決まるとすぐに、恵比寿への引っ越しを考えた。学生時代は下高井戸に住んでいた健太が、東京に出てきて以来ずっと住みたいと思っていた街が恵比寿だ。
編集者として、誰にも負けないくらい仕事も遊びも頑張ろうと思った。そのためには恵比寿が最適だった。夜遅くまで営業している飲食店、群がるように集まる業界人と言われる人たち。その中の一員になりたかった。
家賃が高くても、多少の無理をして恵比寿に住む事にこだわった。そうして選んだのは恵比寿駅から徒歩13分、家賃は11万円のデザイナーズマンションだ。健太はこの部屋がすぐに気に入り、即決した。
仕事で知り合ったフォトグラファー、デザイナー、セレクトショップオーナー、そんな東京の第一線で活躍するクリエーターたちと、深夜まで飲むのは刺激的だった。
学生の頃から付き合っているヒカリも、健太の部屋を気に入ってくれた。ヒカリはメガバンクの一般職として働いていた。就職しても中野の実家に住んでいたため、週末は大抵彼女が泊まりにきていた。
同い年のヒカリとは、彼女の19歳の誕生日から付き合い始めて5年間、小さなケンカを繰り返しながらもうまくやっていた。
―このままいけば、30歳ぐらいで結婚するのかなぁ。
漠然とそう考えていた。健太は恋愛では意外と真面目で、女の子も交えて数人で飲みにいく機会は多いが、浮気はしていない。
ヒカリ以外の女性に興味がないわけではないが、どちらかと言うと浮気するのは面倒臭い。彼女を一人に絞らず、刺激を求めて器用に恋愛を楽しむ男友達は多いが、自分はそちら側ではないなと、冷静に思っていた。
刺激なら恵比寿の街に、自分の仕事に溢れていた。そう思っていた。
だが、入社して2年が過ぎた頃、あまのじゃくな所がある健太は自分の暮らしぶりに疑問がでてきた。
仕事に慣れ、恵比寿で夜な夜な集まるメンバーと飲むのもなんだかマンネリとなり、居心地は良いのだが、なんとも言えない焦りもでてきたのだ。
―編集者として恵比寿に住むオレって、普通すぎないか?
そう思い始めると、なんだか他の街にも目を向けたくなったのだ。そして思いついたのが五反田だった。
尊敬するセレクトショップオーナーが、おそらくそんなに深い意味もなく言っていた言葉が突如、記憶の底から蘇ったのだ。
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