第7話:「美人のドヤ顔、超ウケる」 ピーターパン症候群的な医者からの、意外な反応
正木は、杏子と同じく32歳の医者だ。都内の有名大学病院で、整形外科医をしているという。
しかし、彼の肌は20代と言っても通じるほどツルりと潤い若々しく、くっきり二重の目は子供のようにキョロキョロと動き、落ち着きがない。喋り方も舌足らずで、やんちゃな子供のような印象だ。
―この男、本当に32歳なの?まるで中学生みたいじゃないの...。
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第8話:生まれ持った美貌と才能だけでは、婚活市場で勝てない。アラサー女の現実
周囲の者たちの杏子への評価は、少しずつ、しかし確実に変化していた。 例えるならば、フランス革命時のマリー・アントワネットが、国民からどんどん見放されていくような感覚かも知れない。
―生まれ持った美貌と頭脳だけじゃ、勝負できなくなってきた―
婚活アドバイザーの直人に出会い、最近の杏子が薄々感じ始めたのは、いくら恵まれた素材を持って生まれたとしても、アラサーになれば、プラスの「努力」をしないことには、市場で勝つのは難しいという事実だった。
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第9話:感情的な女に、「ルールズ」の実践は難しい?中途半端な試みは、失敗の元
正木は、自分とのデートを目前に何をしているのだろうか。考えたくはないが、今日の予定を忘れてしまったのか。もう一度通話ボタンを押す。やはり応答はない。最後に、もう一度だけ...。
杏子は結局、合計7回の不在着信を正木に残し、スマホをソファに思い切り投げつけた。 限界が、近づいていた。
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第10話:ついに恋の予感?!幼稚男とのグダグダデートは、まさかの展開に...
「ねぇねぇ杏子ちゃん、俺、イカスミ食べたいんだ―。」
席に座って早々、杏子はまたしても正木に驚かされた。 初デートで、イカスミなんて食材を選ぶ男がどこにいるだろうか。一口食べるごとに歯の汚れを気にしろとでも言うのだろうか。
「え、イカスミ...?」
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第11話:婚活成功の鍵は、「大人」になること?複数同時進行で、相手を見極めろ
優秀な杏子が、こんな精神状態に陥ったのは、初めてのことだった。不安で心細く、自分が自分でないように思える。杏子は、「魔女の宅急便」のキキが、急に箒で飛べなくなり、猫のジジの言葉が分からなくなってしまったシーンを思い出す。
そう、原因は分かっている。あの物語のトンボみたいな男、正木のせいなのだ。それを意識すると、杏子の胸のあたりは、キュッと切なく締め付けられた。
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第12話:好条件でも論外判定?婚活で最も避けたい「典型的な非モテ男」の正体
結婚相談所に登録した当初、杏子が危惧していたのは、こう言った明らかに女性から需要のない男の存在であった。
しかし、桜田は薄い顔ではあるが、やはり不器量と言うわけではないし、親族には有名政治家も多い、松濤生まれの相当なお坊ちゃんだ。性格さえマトモであれば、女性に苦労することなど、絶対になかったであろう。
難アリな性格は、これほど異性に生理的嫌悪感を与えるものなのか。杏子は表面的に桜田の話に同調しながら、冷静に観察をしていた。
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