東洋経済・東京鉄道事情 Vol.38

なんで年間賃料がそんなに激安なの!? 新宿駅一等地にある『バスタ新宿』のコンビニの秘密に迫る!

バスタ新宿は、JR線などをまたいで新宿駅南口を通る国道20号跨線橋の架け替えなどを行う「新宿駅南口地区基盤整備事業」の一環として整備された。施設がある人工地盤は、もともとは跨線橋工事の資材置き場や、工事中の迂回路などとして使用されていたスペースだ。

コンビニが設置される予定のスペース(筆者撮影)

建物自体は商業施設の「ニュウマン」や、地上32階建ての複合ビル「JR新宿ミライナタワー」と一体化しており、建設は国交省から受託したJR東日本が行ったが、同省が事業主体であるバスターミナル部分に関しては、道路整備の一環としてつくられたことから「国道20号」の扱いとなっている。

つまり、バスタ新宿にコンビニを設置するのは、極端にいえば国道上にコンビニを建てるのと変わらないのだ。

国道上にコンビニなどの商業施設をつくることは「一般的にはあり得ない」と東京国道事務所の藤坂幸輔・管理第二課長はいう。国道は公共の場であり、その場所を使って民間業者が収益を上げるための施設を設ける必然性はないからだ。

「道路占用には必要性、無余地性、公共性という原則がある」と、同事務所管理第一課の大川徳郎専門官は説明する。無余地性とは、道路の敷地外に余地がなく、道路を占用せざるを得ないかどうかということだ。一般の国道であれば、コンビニを建てる際に道路を占用しなくても、沿道の土地に建てれば済む。

コンビニは必要性の高い施設

だが、バスタ新宿は法的には国道であるとはいえ、ビル内のため沿道に店を設けるのは不可能だ。さらに、コンビニや売店に対する利用者のニーズの高さから、必要性、公共性という点でもこれらの原則を満たしている。

そこで、業者が「公共貢献」を行うのを条件に、民間による売店運営の公募を行うことにしたわけだ。「『公共貢献』というとわかりにくいかもしれないが、公共施設である国道に設けた施設で上げた収益の一部を、維持管理に還元してもらうということ」と、藤坂課長は説明する。

売店のスペースは現在コインロッカーが置かれている場所で、広さは70平方メートル。このほか、エアコンの室外機や3階に設けるバックヤードなどのスペースを合わせて計123平方メートルが占用面積となる。本営業は来年7月上旬の開始に向けて調整を進めるが、それまでの間は発券カウンターや券売機の裏手にある29平方メートルのスペースで暫定営業を行う。

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