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  • ファブリーズ男の逆襲 Vol.3

    最高の港区Ladyを前に、男の友情が木っ端微塵に砕け散る!?

    「好きになるのは勝手だ。誰かが止められるものでもないし、遠慮する必要もない。自分なりにアピールすれば良いし、選ぶのはユイちゃんだ。ただ、何事もフェアでなければいけないと思っている。」

    小倉はここまで言うと一呼吸おいて、辻と高田の顔を見た。

    「まあ、そうだな」
    「異論なし」

    二人の返事を聞いて、小倉はさらに続けた。

    「フェアにやるために一つ提案なんだが、クリスマスのデートを皆でユイちゃんに申し込まないか?それで、ユイちゃんに選んでもらう。それが一番フェアだと思うんだが、どうだ?」

    思いがけない提案に、辻と高田は戸惑いを隠せなかった。だが辻はすぐその話に乗り気になり、「もちろんお前もやるよな」と高田にけしかけた。

    「まじかよ……」

    チャラチャラした所がなく、いつも冷静沈着な高田は慎重だった。だが、しばらく黙って考えた後、右の掌をみせながら「OK、その話し乗るよ」と言った。

    ちょうど話がまとまった頃、唯一の既婚者、渡部がやって来た。小倉がこの話を伝えると、「お前ら何考えてるんだよ」と笑いながらも羨ましそうにしていた。

    この日以来、各々がユイと接点を作り、クリスマスへ向けた男たちの熾烈なレースが始まった。

    一歩抜きんでていたのは既に面識のある小倉。だが相手は全員F4だ。皆、狙った女性は必ず手に入れてきた猛者たち。すぐにユイとの距離を縮めるであろう彼らの、激しい戦いがこうして始まった。


    名探偵ばりに、後輩がフラれた理由を推理する男


    レースが始まって数日後、小倉は大学の後輩に「相談がある」と持ちかけられた。後輩の川井は、顔は悪くないが優しすぎて最終的に振られる事が多い男。3日後の夜を指定して、会う事にした。

    「小倉さん、聞いてください。先週、狙ってる子がついに家に来たんですよ。でも、それまでいい感じだったのに、玄関に入った途端、やっぱり帰る!なんて言ってそれっきりなんです。僕の何がいけなかったんでしょう...?」

    川井の話を聞いて、「声がでかいよ。まずは落ち着け」となだめながら詳しく話を聞いた。彼が言うには、家に連れて来るまでは本当にいい感じだったらしく、失礼なことは一切していないと言う。

    小倉はしばらく目を閉じて考えた後、大きく目を開き一言だけ言葉を発した。


    「原因はお前の部屋だな」

    確信をつく名探偵ばりに、小倉は一言だけ口にした。藁にもすがる思いの川井は、天啓のようにその言葉を受け止めた。

    「よし、お前の部屋に行こう。だが俺は準備するものがあるから、先に帰って待っててくれ」

    簡潔に伝えると、川井は敬礼しそうな勢いで背筋をぴんと伸ばした。

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