東京イノセントワールド Vol.8

東京イノセントワールド:男は一番でいたい生き物だから...自分よりランク上の彼女への劣等感と揺れる想い

欲望が渦巻き、誰もが成功を願う街、東京。

この大都会に長く住めば住むほど、大切な何かを失っていく気がしないでもない。

東京の独特な空気に飲まれて心の純粋さを失い、幼い頃に描いていた夢を失い、そして本来の自分らしさも徐々に消え失せていく。

長野県から上京してきた美穂と慎吾。大都会に揉まれながら、東京に染まっていく二人は都会の片隅でイノセントさを失わずにいられるのだろうか?

東京出身のマリエに対してコンプレックスを感じていた美穂と、美穂の長野時代の元彼・慎吾は日々東京に染まっていく。慎吾はマリエの誘惑に惑わされ始め、遂に超えてはいけない一線を越してしまう。マリエにハマって行く一方で、素朴な後輩・理恵とのデート中にかかってきたマリエからの電話に対して慎吾は...


女豹が牙を向いた、金曜日の夜


振り返ると、美穂も慎吾も何か大きな勘違いをしていたと思う。生まれた時から「マリエちゃんは可愛い」と言われ続けてきた。

私が望んで、手に入らない物なんて何もない。
そして壊そうと思えば、壊せない物も、ない。



—ちょっと、慎吾ちゃん、何やってるの?—

3回電話をしても出ない慎吾に腹が立ってきて、思わずLINEでメッセージを送った。私からの電話に出ないなんて、一体何様のつもりなんだ。

しかし、そのLINEも一向に既読にならない。金曜日の23時...もう仕事も終わっているはずだ。何より、いつも忠犬ハチ公のように私からの連絡を待っている慎吾。それなのに、何で今夜は電話に出ず、既読にすらならないのだろうか?

—慎吾の分際で...

私になびかなかった男性は、今まで誰もいない。

「マリエがいないと生きていけない。」
「もうマリエ以外愛せない。」

何度男に縋られ、泣かれたことか。なのに慎吾だけは、捕まえても捕まえてもスルリと指先から落ちていく感じがした。それが更に私を苛立たせた。

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