外資系アパレルメーカーに勤める29歳の大輔。
将来は世界を股にかけて仕事する、グローバルエリートになるべく日々奮闘している。
これは大輔が“ある悩み”と向き合いながら、数々襲い来る試練を乗り越え、真の“グローバルエリート”へ成長するきっかけを掴む物語です。
こだわりの強いスタイリッシュ男子、チャンスを掴む
「え、僕がですか?!」
大輔は思わず大きな声を出してしまい、慌てて周りを見た。幸い、オフィスにいる者はみな自分の仕事に集中しているようで、気にする者はいない。ただ、1歳年上の有田だけは大輔の声に反応し、伺うような目を向けてきた。
有田の視線は気にせず、大輔は声を押さえてもう一度言った。
「本当に僕ですか?」
「ああ、そうだよ、本国からの指示だ。もちろん私も異存はない。君がプロジェクトリーダーとしてチームをまとめてくれ。我々日本法人のパワーを見せつけてやってくれ。」
マネージャーの小林は、言い終えると大輔の肩を右手でポンポンと2回叩き、そのままコーヒーを飲みにラウンジへ歩いていった。
大輔は、小林の後ろ姿を見ながら不安と情熱が入り交じった複雑な気持ちを噛みしめた。だが、これはチャンスなのだという確信はある。
アメリカに本社を置く外資系アパレルメーカー『B&AP』の宣伝部で働く大輔。手頃な価格でモードからストリートまで、トレンドを取り入れたスタイルが楽しめる『B&AP』は、欧米では抜群の人気を誇っている。だが日本には上陸したばかりで知名度はまだ低い。
そこで今回、日本でのシェアを拡大するべく本国が決めた一大プロジェクトのリーダーに、大輔が抜擢されたのだ。
これまでにない莫大な額の予算が充てられ、CM、WEB、大型ビジョン、駅のデジタルサイネージ等あらゆる媒体を駆使して立体的なプロモーションを展開し、日本での認知度を上げよ、との指令だった。だが、与えられた期間はわずか3ヵ月。
プロジェクトの大きさに比べると短い期間だが、その中で最大のパフォーマンスを発揮するのも力量のうち。プロジェクトの規模に尻込みしたくなる気持ちもあるが、大輔は自分を奮い立たせるのだった。
早速、プロジェクトのメンバー選定に入ろうと席に戻ると、有田が近付いてきた。