「うーん。ちょっと待って」
しばらく悩んだあと、私の中に何かが下りてきた。そして叫んだ。
「わかった!102だ」
すると両腕を組んだ桜子は、満足げな笑みを浮かべて言った。
「合格よ。でもまだスマートじゃないわね。この程度の暗号なら3分でとかなきゃ」
厳しい……。
早速、森上さんが鍵の数字を102に合わせてみると、確かに、ガチャリという音とともに鍵が開いた。桜子はそれを「当然よね」という表情で見守っている。
地下室に入ると、そこには華奢な彫り物が施されたワイングラスがずらりと並んでいた。
「なんでこんなところに…」
驚く森上さんの横で、桜子は床に落ちている紙を見つけてゆっくり近づいた。
「1007?」
桜子は紙を拾い、そこに書かれていた数字を読みあげた。
「これは森上さんのですか?」
「いえ、見たことありません。」
「じゃあこの数字の並びに思い当たることは?」
「いや……ちょっとすぐに思いつくものはありませんが。」
森上さんは首を傾げながらしばらく考え込むが、やはり思い当たるものはないという風に、残念そうな顔をした。
「なるほどね……。」
桜子は髪をかきあげながら小さく呟く。
薄暗い地下室で、その姿は妖艶な美しさを放っている。
「この数字が何を表わしているのか、まずはそれを考えないと……」
桜子の唇がそう告げると、それを最後に私たちがいる地下室の中は、長い静寂に包まれた。
これは犯人の手掛かりなのか?
次回、10月22日(土)更新
ある場所にあった”大切もの”が奪われる!謎を解いて”大切なもの”を探し出せ!
■撮影協力:HAL PINOT
■衣装協力:ベージュトレンチコート¥130,000(アクアスキュータム ホワイトレーベル)ダークネイビーワンピース¥30,000(レステラ/ともにレナウン プレスポート 03-5468-5641)黒レースノースリニット¥17,000(ソブ/フィルム 03-5413-4141)ベージュプリーツスカート¥18,000(エリオポール/エリオポール代官山 03-3770-6438)イヤリング、ブレスレット<ともにスタイリスト私物>