2016.11.01
ヴィンテージバッグ Sandast Vol.1女性と異なり、男性のファッションアイテムは選択肢が少ない。
東京男児のファッションアイコンとして象徴的なアイテムは、時計、靴、そして鞄が挙げられるだろう。
平日は、仕立ての良いスーツに映えるパテック・フィリップのようなドレスウォッチに、磨き上げられたジョンロブ。週末は、ラフな格好に合わせるHUBLOTに、カジュアルに合わせるディアドラのスニーカー。
しかし、鞄の選択肢は、時計や靴ほどには多くない。
どんな鞄を持つかで、男の品格が問われる。没個性的なバッグを持つ男は、没個性的な男だと思われてしまう。
東京で一歩差をつけるなら、他人が持たないようなバッグを持っておきたい。
そう、『Sandast』のような上質なヴィンテージバッグは、2016年の今、狙い目かもしれない。
肌寒さを感じ始めた10月の中旬。
32歳、インターネット企業役員の大輔は、経営者仲間の聡に食事会に誘われた。場所は、恵比寿のウェスティンホテル『龍天門』。
大輔は、今年の4月に新卒から勤めていた広告代理店を辞め、友人とともに起業した。代理店時代は週に何度もあった食事会も、最近はめっきり行かなくなっていた。
幹事の聡とは、彼の住む虎ノ門ヒルズでのホームパーティーで知り合った。アパレル商社の2代目で、パッと見は何を考えているか分からないミステリアスなタイプ。代理店出身でお調子者タイプの大輔といいコンビだった。
今日の相手は、赤い航空会社の国際線スチュワーデス4人だった。第一印象で見る限り、年齢は25歳から33歳くらいだろうか。
アラサー男女4対4の食事会が始まった。
女のアイデンティティーは、バッグなのかもしれない。
食事会の序盤は、お互いの趣味や仕事の話で、無難な盛り上がりを見せた。大輔も食事会の“勘”を取り戻し、徐々に会話をリードしていった。聡は相変わらず、大輔の横でにこやかに微笑している。
後半戦になり大分緊張がほぐれていくと、女性陣はファッションの話を始めた。彼女たちは相当なファッション好きらしく、ロエベ、セリーヌ、バレンシアガ、シャネルなどのハイブランドのバッグを持っていた。
そのバッグたちは、最低でも30万円はしそうである。自分たちの給料で買っているのだろうか。大輔がその点を突っ込むと、すかさず答えが返ってきた。
「海外フライトの際に、国内で買うより安いから自腹で買うこともありますよ」
微笑みを浮かべながら話す彼女たちは、バッグについて活き活きと語り出す。 彼女たち曰く、洋服がシンプルでも、いいジュエリーとバッグを身につけていると「それだけでファッションが決まる」そうだ。
そう聞くと、女性がファッションでお金をかけるべきところは、やはりジュエリーかバッグなのだろう。
しかし、ジュエリーは、どうしても男の影を感じさせてしまう。そのせいか、女性たちは食事会では高価なジュエリーは身に付けて来ない。
一方バッグは、30万円程度であれば自分で買えないことはない。だからこそ、これほどの熱を上げ、時に血眼になって気に入る物を探すのだろう。
バッグは、女性のアイデンティティーとすら言えるのかもしれない。
この記事で紹介したお店
広東料理 龍天門/ウェスティンホテル東京
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