バルージョ麗子 Vol.6

バルージョ麗子:「35歳の頃が一番孤独だった」42歳キャリアウーマンの告白

女の幸せはキャリアか?それとも結婚か?

婚活に燃える同僚、キャリアに突っ走る先輩の間でどちらも選びきれない32歳の麗子。彼氏ナシ。

そんな彼女を癒すのは、その麗しき名前に似合わない?賑やかなバルでの心地よいひと時。「お酒を飲んでいる時間がいちばん楽しい!」と、現実逃避のごとく、今宵も一人、素敵なバルを探して東京を彷徨う。

ひさしぶりの恋になると思った河村とはなにかしっくりこないまま。そんな折、大先輩のユキ姉からお誘いが。バリキャリ系ユキ姉から聞かされる彼女の結婚観とは……。


ユキ姉からのお誘い。訪れたタワーマンションと贅沢なお一人様暮らし


「おはよう、麗子!急だけど、今日空いてたら家に遊びにこない?」

ユキ姉に会った翌週土曜の朝、そんなメールが来た。台風で昨夜飛ぶはずだったフライトがキャンセルになり、週末の予定が真っ白になったらしい。麗子は恵比寿ガーデンプレイスの地下で買ったワインとチーズを手土産に、夕暮れ時、ユキ姉のマンションに向かった。

ユキ姉の家は晴海ふ頭のタワーマンションだった。てっきり港区か渋谷区あたりに住んでいると思っていたので、晴海というのはやや意外だった。25階にあるユキ姉の部屋は見晴らしが良く、バルコニーからはスカイツリーが見えた。

「スカイツリーより東京タワーのほうが好きなんだけどね」

センスよく配置されたインテリアとよく手入れされた観葉植物から、ユキ姉がこの部屋に愛着を持っているのがわかった。借り手が見つかりやすいという理由が購入の決め手だったというファミリータイプの3LDKは、一人で暮らすには広すぎるように見えた。

「一室は出社しない時の接客用に使ってるのよ」

麗子は心の中をのぞき見られたようでドキッとした。

麗子が持参したチーズは、ドライフルーツとともにオリーブのカッティングボードへ、ワインはトランプ柄が施されたバカラのワイングラスへ注がれた。きっとそれぞれの料理やお酒に合う器が揃っているのだろう。ユキ姉の充実したお一人様生活が垣間見えた。

二人がゆっくり会うのは久しぶりだった。エネルギーの塊のようなユキ姉は、いつも常に新しいことに挑戦している。麗子はユキ姉と話していると、自分にも力が湧いてくるような気がした。

話のさなか、麗子は、ガラスのテーブルの中段に薄紫色の封筒が置いてあることに気が付いた。漉き紙の封筒には、目を見張るほどの達筆で「有希へ 母より」と書かれていた。麗子の視線に気が付いたのかユキ姉は困った顔をして言った。

「母がね、時々見合い写真を送ってくるのよ」

触れてはいけないものに触れてしまった、と麗子は焦った。ユキ姉の恋愛や結婚観についてこれまで麗子から話を振ったことはない。正直なところかなり興味はあるが、10歳年上のユキ姉にうかつなことは聞けないと、避けてきたのだ。

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