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雑食系男子・植木くん Vol.3

雑食系男子・植木くん:寝苦しい熱帯夜。この娘の名前はなんだったっけ?

青山ヒロム。青山ヒロム。青山ヒロム。

3回唱えたところで、僕は彼にはなれないし、絶望的な気分はアッパーな気分に変わってはくれない。僕が直面する平凡な現実は、怠惰なオバハンのようにゴロンと目の前で横たわっています。

だったら、恋の戦士として、神からも愛されたヒロム氏とタックを組んでこの東京恋愛ジャングルに進んで行く方が得策というもんでしょう?

今週の植木くんは、何やら暗い・・・?


菜々緒さんと、二人で軽井沢。羨ましすぎて震えますね。」

東京ステーションホテルのバー『カメリア』で、思わず本音が出てしまった僕は、長谷部誠氏を思い出し、はっと心を整えました。

タクシーに乗るヒロム氏を見送り一人になった僕は、このままどんよりとした気持ちを滞留させたまま家に帰りたくなく、和田倉門までまっすぐ伸びている人気の少ない行幸通りを何となく歩くことにしました。


ヒロム氏のいつもの如く完璧な「脱ぎたけりゃ、お好きにどうぞ」っぷりに、愚民の立場を忘れて思わず嫉妬した自分への戒めです。

均等に植えられているイチョウ並木の新緑は、街灯に照らされて涼感を感じさせるものの、実態は苦しく昼間中ジリジリと真夏の太陽に焦がされたコンクリートはまだ熱を帯......


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雑食系男子・植木くん

慈恵医大を卒業後、34歳で独立し恵比寿で眼科を開業したイケメンドクター・青山ヒロムと、一流企業で働く魅力的な女たちが東京を舞台に繰り広げるセクシャルで時に切ないラブコメディ。

そんな青山ヒロムと、女性たちの展開を側で見守るのは、女となれば見境がないのに、何故か憎めない雑食系・広告代理店男子・植木くん。

これは『青山ヒロム』を間近で見つめる、とことんチャらくて、ちょっぴりピュアな植木くんのサイドストーリー。

ある夏の夜から、この物語は始めるー。

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