「人間は環境に馴染む後天的な生き物。住む街が、人を変え、そして人を作ることもある。」と目黒女子は語った。
ならば、歴史の香りと異国文化が融合する、神楽坂に住む男性たちはどうだろうか。メイン通りから小道に入れば、思いがけない情緒が溢れるこの街のように、趣ある男性たちなのだろうか。
そこの所を探るべく、今回からは神楽坂に住む「神楽坂の男」を紹介していく。
失恋が、神楽坂へ住むきっかけ
「神楽坂に住むきっかけとなったのは…恥ずかしながら失恋のせいですね。」
少し俯いて苦笑いを浮かべる裕太は、これまでも多くの女性から好感を持たれてきたことが伺える、そんな雰囲気を醸し出している。
一重の涼しげな目元だが、笑うとくしゃりと大げさなくらい皺が入る。その笑顔に、ほとんどの女性は警戒心を解かれ、心を許してしまうだろう。
日本橋にある日系の証券会社に勤める彼は、32歳になったばかり。滑らかで健康的な肌を持ち、文化系の香りが漂う細マッチョ。ボーダーのカットソーやリネンの白シャツをさらりと羽織り、短めのパンツ丈を好む男性だ。
神楽坂通りとは、飯田橋駅西口からすぐの「神楽坂下」から、大久保通りと交わる「神楽坂上」の交差点まで続く通り。早稲田通りの一部だが、この区間は神楽坂通りと呼ばれ、そこから迷路のように伸びる石畳の小道は全国的にも有名だ。
「以前は渋谷区の鶯谷町に住んでいました。埼玉から上京してきて、渋谷に住むのが夢だったんです。」
そこから、神楽坂に辿り着いた経緯を語ってくれた。
「引越しのきっかけになった、失恋した彼女がワイン好きで渋谷や恵比寿のビストロに色々連れまわされてたんです。僕、ワインは苦手でしたが、彼女に勧められたビオワインは不思議と飲めたんです。フランス産限定でしたけど。」
それから凝り性の彼は、フランスのビオワインに目覚め、長期休暇には一人でフランスに行くほどハマってしまった。ビオワインに限らず、ワイン全般をこよなく愛するようになった彼は、ブルゴーニュやシャンパーニュのワイナリー巡ったそうだ。そんな彼を呆れながらも見守ってくれていた彼女だが、他に好きな人ができたとあっさり振られてしまった。
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