東京同棲白書 Vol.1

東京同棲白書:結婚前提で始めた同棲生活だが…。同棲は結婚への弊害だった?!


生活習慣の違いも、きちんと話し合う


美帆は元々家事が嫌いではない上、洗濯物のたたみ方や食器の洗い方に、自分なりのこだわりを持っているため、変に自分のスタイルを乱されるより自分で手早く片付けた方が良いとも思い、今の分担に満足している。

二人は30歳で結婚することと、ハイグレードマンションへの引越しを目標に、無理のない程度に貯金も頑張っている。結婚式は、家族や友人を招いて、ハワイで豪華に挙げるのだと、美帆は目を輝かせながら話す。

だが、仲睦まじい二人にも同棲当初、喧嘩の多い時期があった。それは同棲を始めて3ヶ月の頃だ。それまでも洗面台の使い方や玄関の靴の並べ方、使用済みバスタオルを干すか洗濯機に入れるか、など細かい所で生活習慣の違いがあり、美帆が気になって、翔太に「こうしてほしい」とお願いすることがあった。

泊まりに来ていただけの時はそんなに細かく言われたことはないのに、と戸惑うこともある翔太だったが、美帆曰く、「その時はお客さんだったからあんまり気にならなかったけど、自分もここの住人になると気になりだすのよ」とのことだった。翔太は、彼女の言い分に「そういうものか」と自分を納得させ、喧嘩に至るほどのことにはならなかった。

たまに勃発する大きな喧嘩の原因は、度重なる翔太の連絡不足のせいだった。美帆は仕事が忙しくても、夕飯作りは手を抜きたくなかった。忙しくなることがわかっていれば、週末に常備菜を作り置きして、時間をかけずに夕飯の支度ができるよう工夫した。

翔太は、会食のほか突発的に社員や大学時代の友人を誘って飲みに行くことも多く、「軽く一杯だけ行ってくる」と言いながら本当に‘軽く’で帰ってきたことは一度もない。

飲みに行く連絡も直前のことが多く、美帆が夕飯の支度を始めている時に「ごめん、今日は飲んで帰る」とLINEが来るのだ。張り切って準備をしている美帆にとって、そんなことが重なるとさすがに腹が立ち、早めに連絡をくれるよう何度も注意したが、それはなかなか改善されなかった。

「付き合いも大切なのだろう」とわかってはいても、自分がぞんざいに扱われているようで、美帆の不満は溜まっていた。

そんな二人の3年後は…

美帆の隣には9ヶ月になる男の子がいる。その男の子は、くりくりの天然パーマが愛らしく、目の前にあるものに片っ端から手を伸ばすため、美帆は少しも目が離せない様子だ。

我が子を見つめる美帆の眼差しは柔らかく、母としての強さも纏った女性がそこにはいた。

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