それは、彼女に関する雑誌記事のほとんどが「海の近くに住みたい」「オーストラリアのような場所が好き」のような、テラスハウスを連想させるものばかりだったのです。
そして、過去にこの連載で前田敦子にAKBに関連した会食を企画したところダダ滑りしたという経験があり、「筧美和子=テラスハウス」を脱却することなしに、この会食を成功させることはできないと確信しました。
そこで、雑誌を離れた私は、インターネットにも足を延ばしてリサーチした結果、次の会食が思い浮かびました。
・彼女が好きな「鶏のから揚げ」を中心とした会食(鶏肉はバストアップにも良いので)
・モデルとして代謝を高めるような根菜を中心とした会食(代謝を高めるのはバストアップにも良いので)
こうして何を考えてもバストがチラついてしまい、そして女性にとってハゲと下ネタは最悪の組み合わせでしかなく、筧美和子との会食は完全に迷宮入りすることになりました。
こうしてますます私のストレスは高まっていき、(いよいよ今回こそ、連載休止を決断しなければいけないのかもしれない……)
そんなことを考えながら頭を抱えたとき、私の両手指の間に、大量の毛が挟まっていたのです。(なんならこのまま出家してやろうか……)そんなことまで考え始めた、その瞬間でした。
(こ、これだ……)このとき私の脳天に、雷が落ちたかのような衝撃が走りました。そして私は、すぐさまメモ帳を取り出してページをめくり次の情報を確認したのです。
(好きな食べ物)えんがわの握り
(嫌いな食べ物)ワサビ
これ、分かります? 最初はこの情報を素通りしていたのですが、自分の抜け毛を見たとき天啓とも呼べる閃きを得たのです。
抜けばいいのです、ワサビを。
現在22歳の筧美和子はまだカウンターの鮨には慣れていないはず。そして、鮨屋は高級になればなるほど「サビ抜きで」と言えないものです。
それを先回りして、あらかじめお店側に話をつけておくことで、「この人、なんて大人なの!?」となり、筧美和子を感動させることができるというわけです!!!
そして私はすぐさま担当編集Hに連絡し、「事前サビ抜き理論」が可能な超有名店を探しました。そしてたどりついたのがこのお店でした。
『金多楼』
これは三宿にある言わずと知れた超有名店であり、日本で数人しかできない「本手返し」という握り方ができる大将のお店なのです。
しかも、筧美和子は三宿出身なので「あのお店で一度でいいからお鮨を食べてみたいけど、でも私、ワサビ食べられないし」と考えていた可能性すらあるのです!
こうして私は今回の会食の成功を確信すると共に「『事前サビ抜き理論』、マジで流行るんじゃねーか」と自分の発想力の豊かさに震え上がることになりました。
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