『夢をかなえるゾウ』シリーズは300万部、『人生はニャンとかなる!』シリーズは180万部を突破。そんな人気タイトルを多数手掛ける作家・水野敬也氏が、名だたる女優とリアルにデートする本企画。
今回のお相手は女優・前田敦子さん。本日、TBS系で24:12から放送の『毒島ゆり子のせきらら日記』に主演するなど、ノリにのっている彼女と水野氏のデートはどんな展開になるのか?
1話読み切りでお届けする爆笑ストーリー、最後まで目が離せませんよ!
今、この文章を読んでくれている皆様のおかげで連載も5回目を迎えることができましたが、今の私の率直な気持ちを申し上げますと
「もう美女と飯は食いたくない」
です。
――想像してみてください。毎月毎月、自分の魅力偏差値を遥かに超えた美女たちを喜ばせる会食を企画しなければならない苦しみを。
毎回吐くくらいテンパりながら下準備と店選びに丸四日かけ、当日は朝からまったく仕事が手につかず、いざ食事が始まったら極度の緊張の中、一言一言をひねるように絞り出し(もちろんご飯の味はほぼ味わえません)
会食が終わって逃げるように帰宅した後も、会話の失敗が5秒おきに脳内にフラッシュバックして「あーっ!」と叫びながら枕に顔をうずめ足をバタバタする――
そんな苦しみの日々を乗り越えられた理由はただ一つ、誰にも真似できない苦行を続け「苦行に意味はない」と悟りを開いたブッダのように、
私もこのまま連載を続けていけば「美女に意味はない」と思える境地に至り、仮にアリアナ・グランデから逆ナンされても、
「俺、アリアナよりも、アジアンだから」と隅田似の女性の肩を抱くことのできる日がやってくる
と信じていたからです。
しかし、ブッダは苦行を6年間続けましたが、私は6回目の連載を迎える前に廃人になり戦線離脱する可能性が出てきました。なぜなら、担当編集Hが電話越しにこう言ったからです。
「次の会食のお相手は前田敦子さんに決まりました!」
前田敦子――。ここで改めて説明するまでもなく、過去に国民的アイドルのセンターを務め、今や女優として確固たる地位を築いた、もう遥か彼方の存在であり、
モノマネ芸人キンタローとの会食でもそこそこ緊張するであろう私にとって、もはや「緊張死(緊張しすぎた結果、至る死)」は免れないと確信しました。
しかし、この苦しみを乗り超えた向こうにこそ、ブッダの至った悟りの境地があると自分を叱咤激励し、
前田敦子に関する情報を集めるべく大宅文庫(過去に発売されたすべての雑誌が読める図書館)のパソコンで検索したところ泡を吹いて倒れそうになっている自分がいました。
前田敦子の検索結果は1085件だったのです。
(だ、ダメだ。これまで登場した美女たちと比べてもケタ違いに多い――)
この記事へのコメント
コメントはまだありません。