僕のヤバい時計 Vol.3

下町から駆け上がった六本木の妖艶マダム。保有時計の合計時価総額は1億円越え?

第3回目を迎える、僕のヤバい時計シリーズ。最終話には、番外編として六本木在住のマダムを取材した。

「ごめんなさいね、持っている時計があまりに多いので、レストランには持っていきたくないのですが……」

そう伝えられた我々は、彼女が住む六本木の高級レジデンスマンションの一室に招き入れられた。彼女が部屋のテーブルに広げた数々の時計に、息を飲んだ。ここまで数が多いと、1つ1つの価値が霞んでしまいそうだ――

マダムが持つ時計、トータルの時価総額は約1億円近く!?……右上から、オーデマピゲ ロイヤルオーク(約700万円)、ジャガールクルト(約300万円)、カルティエ タンクアメリカン(約350万円)、ショーメ(約150万円)、ロレックス オイスターパーペチュアル クロノグラフ(ローズゴールド)(約380万円)

M.K(仮名) 58歳

「まさに私は成り上がりだと思いますよ。とにかく、世間に負けたくないっていう反骨精神で、ここまで来れたのだと思います」

熟女好きの男が彼女の写真を見るなり、必ずと言っていいほど、「フェロモンがヤバい。」の言葉が発せられる。彼女が纏った空気感は、一国の女王様と言っても過言ではない程の、解き放つマダム感。前髪をふわっと後ろに流したエアリーなショートヘアーが特徴的だ。

顔出しNG。住んでいるところが特定されそうなのもNG。言わば、秘密の花園とも言える彼女の部屋へは、条件付きで入室が許された。

カルティエ タンクアメリカン 約350万円

「所謂エリートの方っていうのかしら、エスカレーター式に学校を出て、有名大学を出て、大企業に勤めてって人もそれはそれで凄いでしょうけど、私からしたら、その世界だけでしか生きていない人ですね」

20代前半で、16歳年上の夫と結婚。今でこそ、歳の差婚は珍しくないが、80年代当時は2人を見る目は決して温かなものではなかったという。

「その当時は、私も親の手には負えない程やんちゃでしたし、旦那も再起をかけて東京に戻ってきたタイミングで出会いました。お互い、マイナスからのスタートだったんですよね。今で言う、ヤンキー夫婦のような(笑)。その当時は夫もほぼ一文無しに近い状態。

ただ、この人は将来何か大きいことをするなっていう、女の勘みたいなものが働いたのでしょう……若さゆえの勢いもあって、夫との結婚に躊躇はなかったですね」

夫との出会い、そして結婚という第一の人生の転機を迎え、夫婦で建設会社を起業。夫は一日現場に付きっきり、彼女は子育てをしながら、会社の経理を任された。起業当初は毎日資金繰りに追われていたというが、高度経済成長の波に乗りながら、うなぎ上りに売上を伸長。

ロレックス オイスターパーペチュアル クロノグラフ(ローズゴールド)(約380万円)

ここまで聞けば、なんとも順風満帆な人生だと聞こえは良いが、年の差婚であることや、学歴へのコンプレックス、ゼロから全てをスタートさせた夫婦は、いわば「金が物を言う世の中」で立身出世してやろうと、地を這うような努力をしてきたのだ。社会をピラミッドで例えるならば、下から上を仰ぎ見るほどの場所からのスタートだったという。

「ある時、夫が私にダイヤの指輪を買おうとしてくれたことがありましてね。でも、その時にクレジットカード会社から断られまして。結婚するまで、夫は職を転々としていましたし、社会的信用がなかったんです。

あの時の悔しさはまだ覚えています。誰かを見返してやりたい、という気持ちよりも、社会に負けてなるものかって気持ちが芽生えた時でした」

血気盛んな昭和の男を支える、肝の据わった女性だ。勝新太郎と中村玉緒を思わせるような、夫婦二人三脚な生き方を思い起こさせる。

「会社の経営も大変でしたけど、なんといっても旦那の扱いは大変でしたよ。何もないところから成り上がった人というのは、一癖あるものですよね。でも、そういったところも魅力だったのかもしれません」

そんな彼女の第二の人生の転機は、40代後半に訪れることとなる。

中央奥:ロジェ・デュブイ エクスカリバー 約100万円

おすすめ記事

もどる
すすむ

東京カレンダーショッピング

もどる
すすむ

ロングヒット記事

もどる
すすむ