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ソフィアンの半生 Vol.1

ソフィアンの半生:外資系証券の知性と意外な純情さを持つ女の「それらしい」着地


〈32歳の転機〉


ジミー・チュウの脚筋がキレイに見えるパンプスを履いて、プラダのシンプルなバッグを片手に足早に丸の内のオフィスを後にして神田へと向かった真美。

駅で友達と待ち合わせて『正泰苑』の総料理長が独立して作った焼肉店『金山商店』へ入店した。高すぎず味は一流なのに、食べログ評価が異常に低いことでも知られる店だ。

本日は決戦の肉会!

肉会というアプリで友達の千春とペアになって男性2名に焼肉をおごってもらうオファーを出していた真美たちは、店に入り予約の名前を伝えた。そこで待っていたのは長身の誠実そうな男性。名前を直樹と名乗り、「あ、年齢も必要ですよね。36歳です。」と照れくさそうに付け加えた。直樹は外資系大手金融機関に勤めているトレーダーだったため、真美とはすぐに意気投合した。

〈33歳のダイヤモンド〉


「真美ちゃん結婚しよう」

ずっとずっと夢にまでみていた言葉が、直樹の口から発せられたのは付き合って10カ月目の時だった。

毎日身に着けるからとおねだりしたハリーウィンストンの0.8キャラットのVVS1ダイヤモンドが真美の瞳と同じくらいキラキラと光っていた。

「広尾に戸建てを買うことにしたの。」と真美は六本木の『フレンチキッチン』で季節のスープを飲みながら言う。金融マンの直樹がこのマイナス金利時代に家賃を払っているのが馬鹿らしいから一刻も早く家を買ってローンを組もうと言いだしたそうだ。

“港区在住・年収3,000万円以上バツなし、しかも誠実(ここがいちばん難関)な独身男性”を射止める確率は、昨今宝くじを当てるのとほぼ同じ確率と言われているこの時代。真美は自身で理想の生活を送りながらも、手にいれたのだ。

計算していたのかって?

計算は…していなかったとは思うが、ほぼほぼそれらしい着地をするのがソフィアンレジェンドなのである。



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