僕らの世代の東京ソング Vol.2

僕らの世代の東京ソング:アラウンド45歳に捧ぐ'82~'86の東京ソング特集

俺ら東京さ行ぐだ ~吉幾三~

1984年11月25日発売

「東京へ出だなら 銭コァ貯めで 銀座に山買うだ」

ジャパニーズラップの元祖、吉幾三。
テレビで泥酔しながらバブル期の投資失敗による大損害と、迫りくる千昌男の取り立ての恐怖を笑顔で語る、若者では到達しようのない豪傑さを身にまとったシニアスター。
彼はまさに80年代が産んだスターでもある。

2008年頃に発生した、ニコニコ動画でのIKZOブームも記憶に新しいが、この曲を様々な現代の楽曲とミックスした作品たちは、冗談ながらもその先進性を裏付けた確かな証拠である。

現代と違い、東京と田舎のアイテム格差を埋める手段が乏しかった時代。現代なら、どんな田舎でもAmazonが届けてくれるが、1984年は、まだアップルコンピュータがマッキントッシュを発表した年。

当時、多くの地方都市から猛抗議を受けたという、田舎を馬鹿にしきったかのような歌詞は、しかし吉幾三の幼少期の故郷津軽での体験とも近いものだと言う。
寒さゆえ、口をあまり開かずに会話できるように発展したとも言われる津軽弁。歌詞を方言にするだけでなく、メロディさえも抑揚を抑えた結果産みだされた、邦楽史上初めてのラップを取り入れたヒット曲。

東京への憧憬を、マイナー調のムード歌謡ではなく、どこまでも突き抜けた明るさで歌いきった吉幾三。この曲のお蔭で、津軽への観光客も増えたと聞く。

30年の時を経て、再び東京の一極集中が問われる現代において、地方再生のカギは、「明るさ」にあるのかもしれない。

動画:吉幾三 - 俺ら東京さ行ぐだ

雨の西麻布 ~とんねるず~

1985年9月5日発売

「愛の終わり 胸の痛み 雨の西麻布」

秋元康とのゴールデンコンビが放ったとんねるず5枚目のシングル。1985年有線放送の新人賞を獲得している。
普通に名曲でありながら、いつテレビで見ても一回も真面目に歌ってくれないとんねるずに、お茶の間みんなが笑い転げていたものである。

有名でない街をあえて歌詞につけて面白くするために選ばれたという西麻布。
当時は「なんで西麻布なんてタイトルにつけたんだろう(笑)」という受け取られ方だったが、現在では西麻布は、東カレ読者が選ぶ好きな街ランキングでも17位と、すっかり大人が楽しむ街である。

アラ45にとっては、やはり85年から放送された「夕やけにゃんにゃん」の思い出は絶大。若さに任せて誰が相手であろうが傍若無人に暴れまわる、全く新しいスタイルのとんねるずの笑いを目にした時に、新しい自分達の時代の到来を感じたアラ45も多かった事だろう。

ネプチューンやおぎやはぎ、バナナマン、タカアンドトシなど、今をときめく芸人達が最も影響を受けたと言われるとんねるず。
そのとんねるずがまさに天下を獲る数年間をテレビの前で見守ったアラ45にとってのお笑いスターは、今でも「とんねるず」なのである。

動画:雨の西麻布 とんねるず

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