文具の品格 Vol.3

文具の品格:男の持つペンでプロファイリングを始める怖い女たち

前回までのあらすじ

「安物のボールペンを使っている」という理由で、気になる先輩社員・安浦千佳に、「仕事できなそう」と噂されてしまったデキ男営業マン・裕哉(ひろや)。

「ブルーアワー」という高級万年筆(17万6000円)を一括払いで購入し、“ホンモノ”の都会のオトコへの第一歩を踏み出す。 ところが、“フリクション派”だという本田翼似の後輩・並木愛子からは、ホワイトデーに秘密のメッセージをもらい――……

前回 vol.2:「手軽なボールペン派」愛子からのホワイトデーのトリックラブレター

「何も書かれていなかった付箋に、愛子からのメッセージが浮かび上がる」 というフリクションが起こした予想外の出来事に、裕哉は数日経った今でも、驚き、戸惑っている。

あれから、愛子とはほとんど顔を合わせていない。裕哉は、もともと互いに外出や会議の多い業務だから――と、あまり深く考えないようにしている。どちらにせよ、愛子の真意は読めないままだ。

――付箋。ふせん。フセン。 裕哉はベッドの上でタブレットを操作し、付箋の小ネタを検索する。

「……現在ではオフィスや学校などの必需品となっている付箋ですが、日本で初めて販売され始めたのは実はそう遠い話でもなく、1981年のことで……」

「……付箋の代名詞『ポスト・イット』は、実は登録商標。オフィスの必需品である近年の付箋は、この『ポスト・イット』が元祖である。 アメリカの化学メーカー3M社が、強力接着剤の開発過程で生み出した失敗作『“よく貼りつくが、簡単にはがれてしまう”のり』が、数年を経て、『ポスト・イット』に生まれ変わった。 『ある日、教会の賛美歌集のページから、はらりとしおりが落ちるのを見て、"あの失敗作ののりを使えばいい"と閃いた』 という開発者の逸話は、セレンディピティの好例としてビジネス書などでも多く取り上げられている。このエピソードは、失敗を成功に繋げることや観察力の大切さを、私達に教えてくれる……」

調べだしたら、止まらない。裕哉の眠れない夜は、今日も続く。

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