74b3a07535fb6eb693b664b4aac77d
#東京悪女伝説 Vol.11

その名はサエコ:ついに"成し遂げた”?!色を好む英雄、ついにアンと契りを交わす...?

ついに、"成し遂げた"・・・?


—サエコちゃん、ごめんね。彼に罪はないのよ。—

あのパーティーの夜。アンは、サエコの彼氏である大富豪とのファーストコンタクトに成功した。初めこそ、二流代理店の男に紹介をしてもらったものの、ソファーに腰掛けて30cmの距離で話してみれば、大富豪の目に赤ワインをこぼしたような真っ赤な下心がありありと透けて見えた。


その男は、無遠慮に、アンの二の腕、首筋、そして太腿にと、視線を滑らせる。昔から男たちの不躾な視線に慣れているアンは、承諾の印として伏目がちに視線をそらして横顔で、男の犯すような視線を受ける。

元来、美術品も、骨董品も、美しいものは、見られるために存在するのだ。熱視線を咎めるなんて、愛でられ慣れていないブスたちがすることだ。

男が赤ワインを促す。赤ワインの、樽のような芳醇な香りがふんわりと鼻につく。そこに、テーブルに置かれたチーズのカビの匂い、海外の強い香水の香り、その男のほのかな体臭が混じり合い、情事の後を連想させるような気怠い空気となる。注がれる赤ワインを受けながら、まるで、男からの誘いを公然と受け入れているようなエロティシズムを感じ、乾杯をした時、二人の目には、暗黙の了解の契りが結ばれていた。

二流代理店の男は、アンの隣にいながらにして、しばらくの間モゾモゾと居心地悪そうにしていたが、そのうち、姿を消していた。

勘違いではない証拠に、後日、サエコの彼氏である大富豪から「二人きりで会おう」と誘いがあり、そして、朝日が差し込むつい先ほどまで、その男の腕の中にいたのだ。

つまり、ついに、アンは、”成し遂げた”のだ。

この記事へのコメント

Pencil solidコメントする

コメントはまだありません。

#東京悪女伝説

絶世の美女ではない。だけどなぜかあの子には男が途切れない。あなたの周りにもきっといる、そんな女のお話です。

この連載の記事一覧