地元民に愛され続けてウン十年!麻布十番の名店5軒

ナスと挽肉の炒め煮。5種類がそろうお通しの中の一品。この日はほかに、春雨のサラダ、高野豆腐とがんもどきの含め煮、南瓜の煮付、青菜のお浸しというラインアップ。大皿に盛られてカウンターの上に並ぶ。それを見て選ぶ客。そこから「今宵も美味しい料理と酒」を標榜する『はじめ』の一夜が始まる

創作料理も唸らせられる
真っ当な居酒屋のお手本『家庭料理 はじめ』

麻布十番

営業が始まる数時間前、静かに仕事をする主人・西山功氏の姿がカウンターの向こうにあった。ボウルの中で春雨と野菜、調味料を入れ、丁寧に和えている。「材料にあまり手をかけず、なるべくいじらないようにする。それがポリシーでしょうか」

創業は天現寺で、麻布十番に移転してから数えてもすでに30年以上。秘かに愛されてきた名店だ。先ほど、和えていた春雨は毎日、5種類を用意する、お通しの中のひとつ。客は好みで選ぶことができる。厚揚げを頼めば、同じ街にある豆腐屋から仕入れた木綿豆腐の水気をしっかり取って、一丁丸ごと揚げていく。

納豆かき揚げ、燗酒(1合)。にんじん、ねぎに納豆を合わせて揚げた人気の一品。納豆が香ばしく、サクサクとした食感で酒が進む。自家製厚揚げも「最近、人気の一品」で、こちらは揚げたてに、今なら大葉、おかかと刻みねぎをという薬味をたっぷりのせて、特製の醤油ダレで食す

「田舎料理ですよ」。西山氏は謙遜するが、こういう店を、良い店というのだろう。ただ真摯に調理し、誠実に客に提供する。

心和む家庭的な味だが、どこかに、家庭では決して出せない奥深さのようなものが宿っている。「うちに、ほかで食べられない料理なんてないですよ」と笑う西山氏。けれど、この安心感、ほかでは決して得られない。

イワシしそ巻揚げ。手開きにしたイワシの身を醤油ダレで軽くヅケに。長ねぎの筒切りを芯にして、大葉とイワシを巻き込み成形。カリッと揚げる。イワシの旨みと大葉の香りも楽しめる一品で、ポン酢をつければさっぱり食すこともできる

定番料理のほか、その日のおすすめは黒板に。素朴な料理の数々で、知らず知らずのうちに長居してしまうナスと挽肉の炒め煮。5種類がそろうお通しの中の一品。この日はほかに、春雨のサラダ、高野豆腐とがんもどきの含め煮、南瓜の煮付、青菜のお浸しというラインアップ。大皿に盛られてカウンターの上に並ぶ。それを見て選ぶ客。そこから「今宵も美味しい料理と酒」を標榜する『はじめ』の一夜が始まる

〈名店の理由〉
好きな一品を選べる実直な味のお通し

日々の仕入れで替わる、お通しは全5種を常に用意。開店当初から続けられてきた。ひとつひとつを丁寧に仕上げていく西山氏。「酒にどう合わせるかという、肴としての家庭料理です」。好きなものが選べる気遣いに、心も和む。

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