東京女子図鑑 Vol.6

31歳女性がするべき、銀座での“上質な”暮らし。大人の女の流儀とは?


東京のライフスタイルを紹介して15年の東京カレンダーが、東京に住む女性たちをエリアごとに分類した「東京女子図鑑」女性の趣味趣向は、居を構えたエリアに如実に現れ、よく行くレストラン、出没場所で形成、強化されていく!?

本日は、人気の街《銀座》。秋田から上京して、アパレル企業に就職し「三軒茶屋」「恵比寿」に住んだ綾が、次に引っ越した街とは・・・?

前回:28歳OLが選ぶ街「恵比寿」。いつでも脱げる臨戦態勢バッチリな女たち

「恵比寿」に住んで都会の女が板についてきた綾(28歳)の3年後・・・

生まれた街から、就職を機に越してきた綾。

秋田の国立大学を出た綾が、地方銀行を強く勧める親をなんとか説き伏せて東京の某アパレル企業の総合職として就職。三軒茶屋の1Kに住み、仕事に邁進するうちに、仕事ぶりを評価されてブランドマネージャーに抜擢されたのが28歳。それを機に、5年間住んだ三軒茶屋を離れ、恵比寿に住んだ綾は、スポンジが水を吸収するかのごとく、街の華やかさを吸収しどんどん美しくなっていった・・・

女は30歳を前に、一度立ち止まる。


20代後半頃から、同期が1人また1人と、会社を辞めていきました。辞める理由はいろいろありますが、病んでしまった子もいれば、転職をした子もいます。気付けば、同期は半分に減っていました。

三茶のカフェで夜通し、仕事のやりがいについて語った同期からは、労働時間とお給料のバランスの悪さの不満が漏れるようになっていたし、夜遅くまで担当ブランドのDMを一緒にアセンブリした同期も、気付けば寿退社してしまいました。たしかに、日本のアパレル企業のお給料は安すぎるとは思います。最近だと、海外のファストファッションブランドが流れ込んで業績も低迷し、ボーナスだってほとんど無いに等しい。恵比寿に住みながら、華やかな街の恩恵を思う存分堪能できず悔しい思いもたくさんしました。

女は30歳を前に、これまでの自分の働き方を振り返って、この道でアクセスを踏むのか、ハンドルを切って方向転換するのか、はたまた、キャリアをストップさせて別の生き方を選ぶか、選択を余儀なくされるものです。

例に漏れず、私もとりあえず、転職サイトに登録してみました。その時は、本気で転職しようなんて思っていませんでしたし、同期たちも皆"とりあえず”登録していたんです。

けど、そこで大きなチャンスが巡ってきました。誰もが知っている外資系宝飾品ブランドのPRマネージャーのポストです。秋田から越してきた私が、「まさか、通るはずがない」って心の中で思いながら、万が一・・・に淡い期待をして、面接を受けてみたんです。


外資系って日本と違ってお給料も破格なんですね・・・新規ブランドを立ち上げて成功させた経験を買われて、お給料は、約2倍の年収700万を提示されました。こんな夢みたいな話、飛びつかない方がおかしいですよね。善は急げと、翌月には辞表を提出しました。

辞めることと、転職先を伝えると、上司は最後まで目を合わせてくれませんでした。それが半年前のことです。

恵比寿は、若いおネエちゃんたちの街・・・?引っ越しを決意した綾


転職して1年。31歳になって、月給50万円に、ボーナス。

秋田から出てきて8年。本社は銀座。まさか、この私が、あの外資系ブランドで働くことになるとは思いませんでしたね。母に言ったらびっくりしていました。

入社1週間後に、新しい上司から『資生堂パーラー』でランチをご馳走になりました。まるで、プラダを着た悪魔のアナみたいな、すごくおしゃれで、クールな45歳の女性です。細身で、真っ黒の髪をショートカットに刈り上げていて、ビジューのたっぷりついたピアスに、真っ黒のノースリーブのカシミアニット。その出で立ちは、もう、かっこいいの一言です。

その女性に住んでる場所を聞かれて「恵比寿です。」と言ったところ、あぁ、って苦笑いされました。そして、「若いお姉ちゃんたちが住んでる街ね。」って笑われたんです。私にとっては、華やかな大人の街のイメージだったから一瞬面食らいましたが、確かに、31歳になって、恵比寿を見てみると、赤文字系ファッションに身を包んだ「これから合コンです!」って感じの女の子が多いことに気付きました。

恵比寿に住んでた頃、渋谷に感じた感覚と似ているのだと思います。その人曰く、恵比寿に住むのは20代までだそう。「若いうちは背伸びして、一流のものに囲まれて暮らしなさい。」と言われました。

それを聞いて、恵比寿から引っ越しました。仕事場に近いからという理由もありますが、やっぱり、上司から言われたことがひっかかって・・・最寄駅は京橋駅の銀座一丁目ですが、一応、"一流の街"銀座です(笑)。家賃は恵比寿時代と変わらず、13万円。最初は、上司のいう一流のものがわからなかったけど、その人の行動をお手本に真似するようになって、やっと最近30歳を超えた大人の女の流儀が分かるようになった気がします。

お礼状はまめに。銀座・鳩居堂で季節の絵はがきを。


その上司は、デスクに便箋や封筒やおしゃれなステーショナリーが常備していました。そして、すごい筆まめです。会食のお礼も、必ず翌日朝早く来て書いていました。その人曰く、「メールが普及した今だからこそ、こういう一手間が、その人の印象を左右する」んだそうです。

いろんなレターセットがあるようですが、私のお気に入りは、銀座鳩居堂の季節の絵葉書。すっごい素敵なんですよ。目上の方や、海外のお客様、クライアントに出すときに、私も真似して使っています。日本は四季がありますからね、四季ごとの花や、果物の絵がちょこっと隅に描かれた絵はがきなんて、なかなか乙ですよ。

同世代の友人・知人へは、CRANE社のレターセットで。銀座の伊東屋でオリジナルのエンボス入りのものを作ってもらったのですが、同業のPRの友人からは「さすが綾さん!センスある!」と褒められます。こういう目利きができるようになって、同世代の中でも頭ひとつ抜けてきたなって最近実感しています(笑)

『空也』の最中は、木箱じゃなくて、化粧箱で差し入れを。


銀座並木通りにある、『空也』の最中は知ってますよね?私も勿論知っていました。

けど、まさか、あんなに人気だとは・・・一回、上司から翌日のおつかいを頼まれて意気揚々と『空也』に買いに言ったら売り切れだったんです。上司からは「空也の最中は、前日までに予約するのが常識でしょう。そんなのも知らないの?」ってびっくりされました。

まぁ、そうやって怒られながら、一流の女の生き方を学ばせてもらっています・・・(笑)

30個入りは木箱にも入れてもらえるのですが、匂いが最中に移ってしまうから好き嫌いが分かれるとお店の方に教えて貰いました。木箱の方がぱっと見豪華に見えるのですが、そういう上辺の派手さに左右されずに、相手のことを考えられるっていうのも、大人の女性として求められていることですよね。

それを聞いてから、私はあえて化粧箱に入れてもらうようにしています。

女は30歳までに、歌舞伎座デビューしていたい。


実は、今、時々デートしている人がいます。一応、彼氏です。一回り以上も年上の方なんですけど。・・・結婚?とんでもない。そういうのを望める人じゃないんです・・・

結婚は望めない代わりに、その人から得るものはすごく大きいと思っています。日本橋の呉服店の次男坊で、小さいころから、銀座の嗜み方もよく知っている方。レストランも詳しいし、私は、大分その人から大人にしてもらいました(笑)

彼は、歌舞伎座と、桟敷席の愉しみ方を教えてくれました。荘厳な外観は銀座の街中でも一際存在感がありますよね。彼は、歌舞伎座が数年前にリニューアルされたことを、すごく残念がっていました。

「女性が30歳になったら、歌舞伎デビューくらいしていないと」と彼は私を桟敷席に連れて行きました。贔屓の役者への掛け声のかけ方や、お弁当の取り方とか、色々なルールがあるんですね。最初に、その人に桟敷席に座らせてもらったときのあの、ワクワク感は今でも覚えています。幕間に席までお弁当が届けられるのも知らなかったお子様ですから(笑)

歌舞伎も銀座も、まだまだ知らないことだらけですが、最近は、あまり物怖じしなくなってきたと思います。

お手軽なものに囲まれてたら楽だけど、低きに流れて老けちゃうよ。


『ウエスト』のリーフパイは有名ですが、本店が銀座外堀通り沿いにあるんですよね。カフェというよりは喫茶店って表現の方が似合うレトロな空間。ここも、彼に連れてきてもらったところのひとつ。入り口のキャビネットには昭和20年代に演奏されていたクラシックレコードがぎっしりで、そこだけまるで時が止まったみたいです。

あと、銀座四丁目の交差点にある銀座のランドマーク『和光』もさすがですよね。時計や、宝飾品は、仕事がらまめにチェックしてるけど、『和光』オリジナルのものや、国内外から厳しい目で選び抜かれた、高い品質の商品は、うっとりするものばかり。

上司も、クライアントへのちょっとしたプレゼントは、全部『和光』で買うって言ってたのを聞いてから、私も、真似していますが、年上の方や、年配の方へのウケは抜群です。長い歴史と伝統の中で培ってきただけあって、店内に一歩踏み入れるだけで、こちらの背筋もぴんと伸びる気がします。

上司が言ってた「30歳を超えたら、一流のものに囲まれて暮らしなさい」って言ってた理由が最近わかるようになってきました。『ウエスト』の本店も『和光』も、正直、メイクが雑な日やファッションが適当な日は気軽に入っちゃいけない気がしますが、その緊張感が女にハリを与えるんだなと思います。お手軽なものに囲まれてたら楽だけど、低きに流れて、どんどん老けて怠惰になっていっちゃいますからね。

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