「ふたりのニコライ」―作家・柴崎竜人の恋愛ストーリー Vol.8

双子の美女はシンクロするように微笑んだ 「ふたりのニコライ」最終話

【前回までのあらすじ】
高校時代、読書研究会というドマイナーな部活で世界を呪いながら学生生活を送っていた僕。社会人となり、というか恋愛示現流の免許皆伝となって、ふらりと入った立ち飲み屋で再会したのは、高校のアイドル・大崎夏帆だった。

「僕はもう高校時代の僕じゃない、いっぱしの恋愛武士なのだ。よし大崎夏帆を口説き落としたる」と腹を決めたものの、双子の美女のどちらが大崎夏帆かわからない。

やがて酔いも回り、帰ろうとする双子だったが、どちらが夏帆か当てられたら今夜は残ると言われ……

前回:酒が強いから酔い方も美しいなんてウソ! 「ふたりのニコライ」第六話

最後まで食えない双子だ。
だが、ここまで来たらどちらが大崎夏帆か当てるしかない。
やるしかなかった。

「わかった。ちょっと、考えていいかな」

「いいよー、制限時間30秒ね。その間にトイレ行ってくる」

と、まるで三十秒で用を足せるとでもいうようにモナコがトイレに立った。

さて、この二人のどちらが高校時代の伝説的アイドル、大崎夏帆なのだろう。
その前に、僕はどちらが大崎夏帆であって欲しいのだろう。

モナコは気さくで明るいが、いったん酔いが回ると空気を読まずにぐいぐい急所を突いてくるブレーキの壊れた泥酔タイプだ。高校時代の大崎夏帆像からはかけ離れているが、そのギャップがまた素晴らしい。

それに泥酔していても男相手にきちんと割り勘を申し出れる健全さを持ち合わせているし、まだ酔いの回りきっていないニースには「残っていけば?」という提案ができるくらい周囲に気もつかえる。ちょっとお酒にはゆるいけれど、それをもってあまりある優しさと健全さを持ち合わせた美女で、お嫁さんにぴったりのタイプだ。

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