2016.08.23
夏の暑さもようやくひと段落かという気配が。そろそろ食欲の秋? 肉を食べるなら、塊が一番美味しいんです!
牛も豚も、注目すべきはストレスフリーで育ったレアな肉『ラ・ピヨッシュ』
『ラ・ピヨッシュ』には数々の稀少肉を塊で味わえる、肉の名店だ。鹿やイノシシなどのジビエはもちろん、不定期ながらすごい肉が入るという噂が肉ラバーの間では有名。
取材時に手に入ったのは北海道・駒谷牧場の完全放牧野生牛「ジビーフ」と、全寮制有機農業実践校である、愛農学園農業高等学校で生徒たちが育てる「愛農ナチュラルポーク」。
「ジビーフ」は完全放牧された牛だけあって、肉自体が持つ躍動感がすごい。「愛農ナチュラルポーク」は生の状態だと赤身が手に吸い付くよう。
それらの肉を塊のまま火入れすることで、脂の甘さと肉の味を濃く感じることができるのだ。
合わせるのはこちらもこの店こだわりのビオワイン。マリアージュはお任せにして、どこまでも愉悦の時を堪能したい。
極めんとする探究心が導き出した褐牛という結論『キッチャーノ』
見よ!この美しい肉の断面を!
「今回の肉は22日熟成の褐牛。産地は十勝にある池田町で冬は穀物とか、ワインの産地ですから葡萄の搾りカスを食べ、夏になると放牧されて牧草を食べる。広い土地で、のびのび健康的に育っています。だから性格も穏やか。僕が近づくと牛の方から寄ってきますよ。出産から屠畜まで牧場で行うからトレーサビリティもしっかりしてる。」落ち着いた語り口のシェフ・山縣類氏だが肉に関して話し始めると止まらなくなる。
『スペチャリタ・ディ・カルネ(=肉のスペシャリスト)』を謳うイタリア料理店で、夜は生ハムの盛り合わせから始まる肉尽くしのコースが基本。メインは赤身なら池田牛イチボのほか、アンガス牛ロース、島根・石見牛ランプなど、各種を揃える。「脂は適度で赤身の旨さも楽しめる。バランスの良さが池田牛の特徴。アンガスは赤身がより強く鉄分も感じる味。石見は黒毛和牛ですが、サシの等級を意識せずに育てられた肉」
あらゆる事に徹底して迫る人なのだ。生ハムを現地と同じように出そうと高価なスライサーをパルマから取り寄せたり、熟成庫をオリジナルで作らせたり。けれど、そのマニアックともいえる探究心が赤身の旨さを極限まで引き出していく。
「赤身の魅力は噛み締めた後に広がる旨みと香り」という。こんな肉ラバーのシェフと出逢えた牛も幸せだ。
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