柳忠之のコスパ最強! 一目おかれる、お値打ちワイン Vol.3

チリワインは粗野だって!? そんな偏見を覆す、高貴なワインを飲んでみやがれ!

curated by
柳 忠之

自然派の大家、マルセル・ラピエールのもとで学んだ若者が、南米チリで大奮闘。荒くれ者といわれたパイスを見事に手なずけた。高貴なのに親しみやすさを残すところも、ロザリーっぽい。1 リットル入りでめちゃお得。¥2,808 /ラシーヌ☎ 03-5366-3931

ベルばらの登場人物、ロザリーをご存知だろうか? パリの下町で貧しい生活を送る薄幸の美少女。ある日、貴族の乗る馬車に母親を轢き殺され、復讐のためベルサイユへと向かう。しかし、母の仇であるはずのポリニャック伯夫人こそ、じつの母。父はヴァロア家最後の当主ジャン・レミー男爵で、彼女自身、じつは貴族の生まれだったのだ。

チリで栽培されているブドウ品種のパイスとは、このロザリーのような存在である。国際品種のカベルネ・ソーヴィニヨンが広まるに連れ、昔ながらのパイスは粗野だの田舎臭いだのと疎まれ、いつしかガブ飲みワイン用の原料として、南部に追いやられてしまった。だがしかし……。

「16世紀のスペイン人が、そんな酷いブドウをわざわざチリまで持ってくると思うかい?当時最高の品種をもってきたはずさ」と主張するのはフランス人のルイ・アントワーヌ・リュイット。彼は超古木のパイスを、いわゆる自然派的手法で醸造。あっぱれ、粗野な感じのない、エレガントな風味に仕立て上げた。

高貴なポテンシャルを秘めたチリの品種、パイス。気高く咲いて、美しくチリ?

■プロフィール
やなぎ ただゆき ワイン専門記者を経て、97年フリーに。ワインジャーナリストとして多方面で活躍中。お値段以上、で将来価値が出るワインを御紹介。

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