SPECIAL TALK Vol.143

~今の自分はスポーツあってこそ。多くの人に魅力を伝えて恩返しをしたい~


ヨットにのめり込み、全国区の選手になるが……


金丸:ヨットと聞くと、なんだかリッチな感じがしますね。

ヒロド:そんなふうに言われることもあるんですが、ヨット競技って、実際はめちゃくちゃ泥臭いんですよ。最初は自分から行きたいと言ったわけじゃなくて、親に「ちょっと体験に行ってみる?」と西宮浜に連れていかれたのがきっかけで。ジュニアクラブが年間数万円で道具を全部借してくれたので、わりと気軽に始められました。

金丸:ヒロドさんがされたのは、1人乗りですか?それとも2人乗り?

ヒロド:まずは1人乗りでした。

金丸:ということは、風を読んで、帆を操作して、というのを全部ひとりでやる。難しそうですね。

ヒロド:風を読むのは難しいですね。「こっちが速そうだ」と思っても、逆に遅くなることもある。アドバイスをくれる人はいないから、自分で判断しないといけないし、ある意味、賭けの部分もあります。

金丸:思うような風がこなくて、どうにもならなくなったことはないんですか?

ヒロド:風がなさすぎて試合が中止になったことはあります。そのときは、紐で引っ張ってもらって帰りました。

金丸:ヨットにのめり込むようになったきっかけは?

ヒロド:レースで成績を残せたことですかね。20人くらいが同じ組になり、海上にある何ヶ所かのマークを回って、というレースなんですが。

金丸:全部を回って戻ってくるということは、スピードで勝負が決まるんですか?

ヒロド:そうです。ヨットって、スタートが独特なんですよ。止まって「用意ドン」ができないので、スタートライン上をぐるぐる行ったり来たりしながら、「3、2、1、ドン」で進むんです。この位置取り争いは、ほとんど戦争です。ぶつかってくる人もいれば、抗議も飛び交う。

金丸:それって、男女別なんですか?

ヒロド:それが一緒なんですよ。男子のほうが圧倒的に多いし、「邪魔だ」とか言われることもあって。だからこそ成績がいいときは、もう勝ち誇っちゃいましたね(笑)。

金丸:男子が多い中で、いわばマイノリティ。それで勝てたら、なおさらうれしいでしょうね。

ヒロド:暴言を吐かれても負けていられないので、負けん気が養われた気がします。

金丸:体力だけじゃなくて、頭も相当使うのでは?

ヒロド:イメージトレーニングで「こう組み立てたら勝てるな」と考えるのも楽しかったですね。ちょっと恥ずかしいですけど、そのときは本気でオリンピックを目指していました。でも、中学2年生でやめました。

金丸:オリンピックを目指していたのに!?何があったんですか?

ヒロド:学校が公欠を認めてくれなかったんです。私が通っていたのは小林聖心女子学院という女子校でしたが、全国大会の枠を勝ち取ったのに、「学校を休むのはダメです」と言われて。何のために頑張ってきたんだろうと思ってしまって、すっぱりやめてしまいました。

金丸:ええっ!?あまりにもったいない。

「元気の出る声だ」。祖母の言葉が運命を決めた


金丸:では、ヨットをやめたあとは、ついに野球に?

ヒロド:すみません、野球ではないです(笑)。中学に入ってから、ヨットのほかに部活でバレーボールもやっていたので、バレーを高校まで続けて。

金丸:小林聖心女子学院に通われたということですが、兵庫県ではお嬢様学校として有名ですよね。その分、校則も厳しそうですが。

ヒロド:小学校から通っていて、それが当たり前だと思っていたので、あまり違和感はありませんでした。それでも高校生くらいになると、さすがに「いろいろ厳格だな」と感じるようになりましたね。

金丸:合コンに行かれたことは?

ヒロド:行くわけないじゃないですか(笑)。誰かに彼氏ができただけで、みんな「えーーーっ!?」って騒いで、大ニュースになるくらい。校則も厳しくて、服装はもちろんしっかりしてなきゃいけないし、寄り道なんてもってのほか。学校の行き帰りにコンビニに寄るのもダメでした。

金丸:私だったら耐えられない環境です。大学はどちらに?

ヒロド:早稲田大学の国際教養学部に進みました。当時としては珍しく、1年間の海外留学が必修だったので、それも魅力に感じて。

金丸:留学はどちらに?

ヒロド:メルボルンです。

金丸:留学というより里帰りじゃないですか(笑)。

ヒロド:本当に(笑)。当時メルボルンに住んでいた兄とふたり暮らしでした。

金丸:ところで、就職は最初からアナウンサーを目指していたのですか?

ヒロド:いえ、英語がメインの学部だったので、アナウンサーよりも日本ロレアルとか、外資系を一番に考えていましたね。

金丸:あの、ロレアルはフランスの会社だからフランス語では(笑)。

ヒロド:ですね。当時使っていた化粧品がロレアルだったというくらいの理由で、すごく浅はかなんですけど(笑)。でもインターンシップにも参加して、人事の方からも「本試験、頑張ってね」と声をかけてもらっていました。

金丸:それがどうしてアナウンサーに?

ヒロド:母方の祖母が宮崎にいるんですが、祖母は私が小さい頃からずっと「歩美の声は元気が出るから、アナウンサーになったらいいじゃない」と言ってくれていたんです。

金丸:慧眼ですね。確かに元気をもらえる声だし、今のスポーツキャスターというお立場にもぴったりです。

ヒロド:それを思い出して、「あ、そうだ」と。それで、外資系の就活と同時に、アナウンサーの試験も受けて。

金丸:でも、アナウンサーって、相当狭き門なのでは?

ヒロド:「スクールにも通ってないし、難しいんじゃない」みたいなことは言われました。実際、書類で落ちて面接で落ちて。それでも大阪の朝日放送テレビ(ABC)から内定をもらえました。

金丸:ABCはテレビ朝日系列だし、夏の甲子園を主催する朝日新聞とも関係が深い。ここで甲子園との縁ができるんですね。

ヒロド:そうです。お待たせしました(笑)。ABCは高校野球とも阪神タイガースとも縁が深いので、別の局だったら今の人生は、確実になかったはずです。

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