女優歴35年を迎える永作博美が、いま思うこと。“時すでに遅し”なことはない
鮨店カウンターでの会食。少人数なら、これほど相手に本気度が伝わる提案もないだろう。
そこで、まさにいま放送中のTBS系火曜ドラマ『時すでにおスシ!?』で主演を務める永作博美さんを鮨店にお誘いして、鮨会食のメリットを探った。
“時すでに遅し”なことはない。女優歴35年を迎える永作博美が、いま思うこと
いま、人生で初めて鮨を握る側になっている永作博美さん。今春開始のTBS系火曜ドラマ『時すでにおスシ!?』では、子育てを卒業し、ひょんなことから鮨アカデミーに飛び込む主人公を演じている。
実際に鮨の技術も学び、鮨職人の奥深さを実感中だ。
「所作が少なければ少ないほど、緊張感が湧きます。カウンターで姿を見られながら、あのサイズに綺麗に切るのはすごいこと。凛とした立ち姿も難しいです」
永作さんの鮨店への視点には、機微に聡い人柄も垣間見える。
「お鮨屋さんは、色んな所にエッジを効かしていると思います。この白木の角も綺麗にエッジが効いていますよね。
さっき驚いたのは、対面にいる大将からは私のお皿が見えづらいはずなのに、お皿の角をキュッとそろえたことです。おっ、そうかそこもエッジを効かすんですかと思っていたら、スミイカを隅に置いた。
エッジも効いているわ、ユーモアも効いているわと思って見ていました」
そんな環境が、客側の意識をも変えると話す。
「清潔でキリリとした空気が漂っているから、襟を正される気になります。でも、出てくるものが美味しいので、結局とろけてしまう。そのギャップもお鮨屋さんの楽しいところです」
「人間は毎日の経験だけで十分レベルアップして“職人”になっていく」
では、今日のような鮨店での会食にはどんな効果が?
「正直、こんな素敵なお食事をいただいたら、なんでも“はい”と言ってしまいそう(笑)。
距離感が近い特別な雰囲気だから話も進みますし、やっぱり所作ですかね。手を使って丁寧に食べる所作が、どこか交流を深めてくれる気がします。手をおしぼりで拭く瞬間など、ちょっとした所作もいいですね」
鮨店こその共有体験が効く。実は、『時すでにおスシ!?』の撮影に入る前にも、松山ケンイチさんや佐野史郎さんら共演者と製作陣で鮨会食を行ったとか。
店はドラマの鮨監修を行う“銀座おのでら”。「心地良い時間となって、みんなで始まる前の気持ちが高まりました」と話す。
境遇も世代も違う生徒たちが、鮨を習うという新たな挑戦を始める物語。20代から上は70代まで、コミカルな会話や人間模様も見どころだ。
新たな挑戦にちなみ、永作さんに大人の挑戦についてアドバイスを聞いた。
「大人、特に30代頃っていろいろ忙しくて、新たに入れる情報も仕事のタスクも多い時期。本当に毎日やらなければならないことに追われ、板挟みにもなってしまう。だから、いまは無理に挑戦しなくていいんじゃないかと。毎日、十分に経験していますから。
みんな何かやらなきゃみたいになりますけど、何もやらなくても、毎日の経験から人間としてすごくレベルアップしているんです。本当に何かを始めたいとなったら、思いたったが吉日。でも、それがなければ“目の前にあることをいまの自分の最高にする”でいいのではと思います」
その言葉に助けられる人も多いはず。
「いま、改めてお芝居が面白くてたまらない。表現を深めるのに夢中」
自身は女優歴35年になる55歳。心を掴む出演作は数知れず。そういったキャリアがある中で、今後の挑戦とは?
「やりたいことはまあまあやってきました。いまは少し落ち着いていて、これから先また何か出てくるのかなと底の方では感じています。
いまは改めてお芝居が面白くて、その表現を深めることに夢中かもしれないですね。お芝居の感覚を研ぎ澄ましたい。
びっくりするものや見たことがないものの提供というよりは、もっと身近なところを皆さん求めている気がしているので、小さな日々の出来事にフィーチャーしたいです。そこを、そっと、ふわっと持ち上げるような芝居をしたいですね」
「鮨職人の細かな仕事に通じますね」と反応すると、「だと思います」と肯定して続ける。
「ちょっとした違和感みたいなものを、どう修正していくか。細かいところが面白いです」
はたからみたら役者が天職のよう。ただ本人としては、一筋縄にいかないことも糧にする、真摯な職人のような心持ちだった。
「天職だとは思いませんけど、結果、行き着いたのがここでした。いい具合に前に進めない感じも、非常に難しいことも味わわせてもらって、いい感じに悩ませてもらっている……ありがたいなと思います」
■プロフィール
永作博美 1970年生まれ、茨城県出身。1991年デビュー。連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK/2022年)、映画『人のセックスを笑うな』(2008年)、『八日目の蝉』(2011年)など出演作多数。放送中の火曜ドラマ『時すでにおスシ!?』(TBS系/火曜22:00~)に主演として出演中。
■衣装
トップス¥170,500〈NINA RICCI/IZA TEL:0120-135-015〉
▶このほか:「私は家でデリバリータイプ」という女優・生見愛瑠と西麻布のイタリアンに行ったら
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