~調子が良くても悪くてもゴルフって最高に面白い~
「私って天才」と信じ切って快進撃
勝:あ、でも、中学生以降に争った人たちは、プロになっていますよ。中学1年生のときに日本ジュニアゴルフ選手権で3位になったんですが、そのときの1、2位が、現役プロの髙橋 恵さんとささきしょうこさんです。大会が雨で中断になってしまい、途中のスコアで順位が決まったんですが、ものすごく調子が良かったので、最後まで回っていたら勝てていたはず。
金丸:やっぱりポジティブですね(笑)。
勝:実際、中学2年生で九州女子選手権、九州女子アマで優勝して、日本女子アマにも出場して。
金丸:さらに自信満々になって。
勝:私って天才って(笑)。
金丸:技術もさることながら、メンタルでも勝つことが大事ですよね。だって、天才だと思っている人同士が集まってきて戦うわけですから。ところで学校生活はどうでしたか?中学・高校と鹿児島の地元の学校に?
勝:中学は公立校で、高校は私立の鹿児島高校に。ごく普通に過ごしていましたよ。
金丸:ちゃんと校則を守っていたんですか?
勝:ちょっと破るぐらい。フェリーで逃げるようなことはありませんでした(笑)。
金丸:高校生になっても、破竹の勢いで勝ちまくった?
勝:まずKKT杯バンテリンレディスオープンで優勝しました。
金丸:オープンだから、プロ、アマ交じっての大会での優勝。素晴らしいですね。
勝:あの大会はほんとに楽しくて。10年以上前ですが、回ってるときのことを結構覚えています。終盤は自分の背中を左斜め上から見ているような感覚で。
金丸:それって、極限まで集中したような状態ということですか?
勝:そうですね。キャディーさんにも「自分がやってるんじゃないみたい」って話してました。それぐらい現実味がなくて、だけどめちゃくちゃ楽しい。しかも、順位のボードの一番上に私の名前があるのが、超嬉しくて。
金丸:研ぎ澄まされているかと思いきや、順位は確認していたんですね。
勝:チェックしてましたね。プロも交じった大会で、ボードに自分の名前があるのがまず嬉しい。そして一番上にあるから、なおさら嬉しい。だから優勝したいというより、最後まで一番上に名前を載せていたいという気持ちでした。
金丸:お話を聞いていると、純粋というか、自由というか。もう、とにかく楽しくてしかたがないという気持ちでいっぱいだったんですね。そのときの2位って、どなたですか?
勝:韓国のイ・ボミ選手です。
金丸:その時期のイ・ボミさんって、脂が乗り切った時期ですよね。その選手に勝ったのだから、その後の注目はすごかったでしょう。
勝:それ以来、自分の中での目標がすごく高くなったんですよ。だから、目標を達成できない自分にすごくがっかりしちゃった時期もありました。
ついにプロへ転向。笑って、泣いて
勝:その後、高校生の間はアマの大会では優勝したけれど、オープンでは勝ちきれなくて。
金丸:プロになったのはいつですか?
勝:高校を卒業した2017年です。
金丸:勝さんはプロテストを受けたんですよね。実技テストとして試合がありますが、そこでは何位だったのですか?
勝:何位だったかな。「通った!イエーイ!」って感じだったからよく覚えてなくて。……9位?
金丸:こう言ってはなんですが、天才少女が9位で通過って、周りから何か言われそうだなと。
勝:実際、調子がめちゃくちゃ悪くて。でも「通った、ハッピー!」。
金丸:やっぱり、その明るさは最大の武器ですね(笑)。
勝:ただ、そのあとのQT(翌シーズンの大会出場枠を争う試合)では、めっちゃ泣きました。大会に出られないような順位になっちゃったと思って。
金丸:あれ?でも、普通に出場していましたよね。
勝:途中までいい順位だったのが、アドレナリンが出すぎて、必要ないのに飛ばしちゃって。「こんな順位なら出られない。終わった」って泣いていたら、確かに順位は落としたんだけど、結果は全然セーフ。単に私が勘違いをしていただけで。
金丸:なんじゃそら(笑)。
勝:私より順位が低かった人たちからすれば、「なんで泣いてんの?」となっていたと思います。すごい気まずかったんですけど、内心は「やった!出られる!イエーイ!」。
金丸:感情がジェットコースターですね。プロになってから今までで、一番記憶に残っている大会はどれですか?
勝:2021年、日本女子ゴルフ界の4大メジャー大会のひとつ、日本女子オープンゴルフ選手権での優勝です。
金丸:栃木県の烏山城カントリークラブ。勝さんにとって、メジャー初制覇でしたね。
勝:あのときは調子がそこまで良くなくて、スイングも応急処置でやっているような感覚でした。
金丸:感覚がずれてしまったんですかね。繊細なコントロールが要求される競技で、それはつらい。
勝:だけど、運がいいのかなんなのか、それなりに飛ばせるし、パターも入る。最終日、一緒に回っていた西郷真央さんがすごく調子が良くて、私の感覚としては、耐えるように食らいつくのが精いっぱい。ただ、ほかの組もスコアを伸ばしているかなと思ったら、私たちの組ばっかり伸びていて。
金丸:苦しい戦いだと思っていたら、意外に抜け出せていたということですね。
勝:実は私、最終の18番ホールで、結構ウルウルきてて。優勝して嬉し泣きするのが夢だったんですよ。ところが最後、「これで優勝だ」という瞬間に、パターを外してしまい。
金丸:しまらない(笑)。
勝:あとで映像を確認したら、私、「マジか」って表情をしていました。それでも優勝できたから、すごく嬉しかったんですけどね(笑)。




