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SPECIAL TALK Vol.136

~ずっと花と生きてきた僕にとって、花はコミュニケーションツール~


人や場所に合う花を自然と考えてしまう


赤井:実は今日、金丸さんをイメージしてお花を作ってきたんです。

金丸:えっ、本当ですか。

赤井:こちら、一輪だけでブーケを作らせていただきまして。

金丸:おおっ。一輪がすごく大きいですね。これは何という花ですか?

赤井:キングプロテアという南アフリカの国花です。プロテアというのは、数あるお花の中でも立派な花を咲かせますが、その中でもこのキングプロテアは別格。まさにキングなんですよ。お会いするのは今日が初めてですが、いろいろな記事を読ませていただいて、どんな方なんだろうって、何日も前からイメージを膨らましてきました。

金丸:男性から花を贈られるのは初めてです。私のためにわざわざ仕入れていただいたんですか?

赤井:もちろんです。これまでもたくさんの方に、その方をイメージした花をご用意させていただきました。僕は毎回、決め打ちではなくて、ゼロベースで考えます。今回最初にパッと浮かんだのが、「大きくても小さくても一輪やな」と。なんでかって聞かれるとちょっと分かんないですけど、とにかく一輪。ユリやバラ、ラン、いろいろ考えて、赤かな、黄色じゃないよなとか悩みながら。

金丸:これは淡いピンクですね。

赤井:金丸さんはどことなく色気があるな、と感じたんです。それで、優しい感じのピンクがええかなと。途中で「やっぱり2種類くらい入れよかな。いや、やっぱり一輪やな。これは譲られへん」と、行ったり来たりしつつ。

金丸:こちらがおもてなしする立場なのに、そんなに悩んでいただくなんて。

赤井:いや、これもうクセみたいなもんで、考えてるときが一番楽しいんです。決めたのは今朝の大田市場。いろいろ見て、「そうや、キングプロテアや」と。お花によって咲き方が違うので、一番イメージに沿う咲き方をしている一輪を選びました。

金丸:ちょっと照れくさい気もしますが、嬉しいものですね。思いがけずプロの技を見させていただきました。お話からすると、パッとイマジネーションが湧くタイプなんですか?

赤井:大抵はまず「こんな感じが良いかな」という骨組みみたいなものが、ぼーっと浮かびます。いろいろ考えているうちに一回、ちょっと崩れるんですけど、結局はそこに戻ることが多いですね。

金丸:なるほど。試行錯誤の結果、直感の正しさが証明されるんですね。ところで、赤井さんは今日のような飲食店でも装花をされることはありますか?

赤井:ありますよ。僕は料理を作る方をすごく尊敬しているので、食事に行くと「花を飾りたい」ってすぐ思っちゃうんですよ。それも、シェフからよく見えるところに飾りたい。

金丸:シェフに見てもらう。その発想はありませんでした。

赤井:シェフだって、お花があればテンションが上がって、いつもより気持ちが入った料理になると思います。お客さんももっと楽しくなるし、そのときのお花に合わせた、そのときだけの空間と料理になる。

金丸:「ミシュランの星付き」とは違う付加価値ですね。

赤井:素晴らしい料理に、文字通りお花で花を添えられたらいいなと。以前、天ぷら屋さんに桜を飾ったことがあります。お客さんが食べている2〜3時間の間に、花びらが開くようにして。

金丸:咲くところを見せる!?すごい贅沢な体験ですね。

赤井:さすがにゼロから満開というのは無理で、蕾から7割とか8割5分咲きくらいとかの変化ですが、天ぷらは作るときに温度が上がるので、温度を調節して、咲く直前で止めておいたものを飾ってみました。

金丸:ちゃんと咲くか、赤井さんからすれば気が気じゃなかったのでは?

赤井:そんなふうに自分の首を絞めるようなことばっかりやってます(笑)。

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