◆これまでのあらすじ
ニューヨークへ転勤することになった総合商社勤務の遥斗(28)。
付き合っていた彼女にフラれ、新しい出会いを探すことに。
モデルのマヤ、弁護士のアリソン、S級美女のリンやCAの香澄などと出会うが、撃沈する。
▶前回:上品なCAに翻弄された28歳商社マン。実は彼女が「お金目当て」だったと気付いた理由
Vol.6 自立した女、莉乃(29)
ニューヨークは出会いが無限にある。
マッチングアプリもパーティーも沢山ある。
それなのに、この人だと思える人には出会えない。
遥斗は香澄にフラれてから、しばらく女性不信になっていた。というより、こんなはずではなかった、という気持ちが強い。
商社の駐在としてニューヨークに来て一年。見た目も稼ぎも悪くなく、英語もできる。女性には困らないはずだったのに。
正直、何が問題なのかわからない。
すべての事象はPDCA、つまり計画、実行、評価、改善を回すのが定石だと信じていた。
だが、遥斗はこれまで結構モテてきたせいで、失敗経験が少なく分析する材料が足りない。
それでもせっかくニューヨークにいるのに、一人で過ごすにはもったいない。
自分に合った女性が絶対にいるはず、と遥斗は出会いを探し続けている。
今日来たのは、知り合いに誘われた、誰が主役かわからない誕生日パーティー。
来たはいいが、上辺だけのありきたりな話を繰り返すのに疲れ、壁際に一人で立っていた。すると、ある女性に話しかけられた。
「Hi, just curious, are you from Japan?(もしかして、日本出身ですか?)」
遥斗がYesと答えると、彼女は嬉しそうに微笑み、日本語で返した。
「やっぱり。私、莉乃っていいます」
「初めまして、遥斗です」
焦茶色のストレートの髪を下ろし、化粧は薄く、服装はジーンズに白いシャツとカジュアル。けれど綺麗な肌と意思のある目元が存在感を感じさせる。
「転勤してきて一年になります。莉乃さんは?留学とか?」
「私はこっちは十年くらい。遥斗くんは?何してる人?」
「日本の総合商社で働いています。仕事は投資とかM&Aとか」
遥斗の答えに、莉乃はふふッと小さく笑い「総合商社って感じだね」とつぶやいた。







この記事へのコメント
花束もらって椅子引いてもらったなら素直に“ありがとう” でいいのに。 中途半端にデーティング文化取り入れてたり、日本人なのに超面倒臭い😂