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ニューヨーク恋愛物語~商社マン遥斗の場合~ Vol.4

「何も持って来ていないの?」S級美女とのデート終わり、プレゼントを期待された男が出した正解とは?

◆これまでのあらすじ

マッチングアプリでリンというS級中国人美女とマッチした遥斗は期待に胸を膨らませ…。

▶前回:「本気?それとも遊び?」アプリで出会った女性に、初デートで突然聞かれた男は…


Vol.4 小悪魔美女・リン


「はじめまして。写真より可愛いのね(Hi Haruto, so nice to finally meet you… and wow, you’re even cuter than your picture)」

マッチングアプリで出会ったリンと待ち合わせたのは、『Bluestone Lane Manhattan West Café』。広々とした店内はオーストラリアの空気が感じられるオシャレなインテリアが並び、女性に人気の場所。

リンは軽くウインクをすると、遥斗の正面に腰を下ろした。

テーブル越しに、甘い香水の香りがふわりと漂う。

「緊張してる?大丈夫、噛んだりしないわよ、まだね(You look nervous. Don’t worry, I don’t bite ―― yet)」

彼女の口からそんな冗談が出てくるとは思わず、遥斗の鼓動がわずかに跳ねた。


写真では加工のきいた完璧な美貌。だが目の前の彼女には、生々しい温度と強い自信があった。

リンはインフルエンサー兼実業家。美容ブランドを立ち上げ、中国とニューヨークを行き来しているらしい。

ワインを注文した後、遥斗は疑問に思っていたことを口にした。

「君みたいな美人がアプリをやっていて驚いたよ。君なら何百人から誘いを受けるでしょ?」

するとリンは片眉を上げて、冗談っぽく笑う。

「やだな…数百じゃなくて千人は超えるわ。アプリはね、仕事の市場調査で試しに登録したの。メイクやファッション事業をやるのに、女の子がデートの時にどんなファッションやメイクを好むのか。男性の好みとのギャップは、とか見たくて」

「じゃあ、僕とのデートも仕事の一環?」

するとリンはシャンパンで喉を潤した後、遥斗に目線を送る。

「そうね、でもデートをするのは気に入った人だけ。あなたのメッセージが面白かったから」

リンの返答に思わず苦笑いする。

彼女にメッセージを送ったのは、先輩の二宮だ。あんなキザな内容が逆に彼女の心を掴むとは思わなかった。

「他の人のメッセージは退屈なものばかり。けどあなたのメッセージでちょっと笑っちゃった」

リンは少女のように可憐に笑う。

遥斗は一目でリンに惹かれた。

デート終わり「あなたはスマートね、気に入ったわ」と目の奥をじっと見つめて言われ、遥斗のテンションが上がる。

2回目のデートは、リンが選んだミシュラン星付きのイタリアン。

料理が到着し食べようとすると「待って(Hold on)」とリンはスマホを構え、さまざまな角度から料理を何枚も撮影する。

撮影が終わると無言で文字を打ち「OK. 終わったわ」と呟いて微笑んだ。

この記事へのコメント

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No Name
二宮帰ったんかい。この連載は遥斗以外の登場人物が皆ぶっ飛んでて面白い!
2025/11/26 05:388
No Name
俺リンの何が好きだったっけ

って、外見でしょw
NYの中国系インフルエンサーが食い逃げを繰り返してついに収監されたニュースが浮かんでしまった。 弁護士オバチャンの生贄、お気の毒。
2025/11/26 05:247
No Name
遥斗に対して何の配慮もリスペクトない、(やはりお国柄?)
こんな女誰でも無理でしょうね真剣に付き合うのは。 今すぐ迎えに来い?明日マイアミ行こう?調子に乗りすぎ!
2025/11/26 06:047
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ニューヨーク恋愛物語~商社マン遥斗の場合~

ニューヨーク。
眠らない街で、スマホを片手に恋を探す男がいた。

日本でも海外でも主流となったマッチングアプリはもちろん、最近流行っている「リアル」な出会いイベントにも顔を出す。

成瀬遥斗、28歳。総合商社勤務6年目。ニューヨーク駐在中。

その肩書もあって、マッチングアプリを開けば、メッセージは山のように届く。
しかし、出会いは星の数ほどあるが、本当に心を許せる“誰か”には、なかなか出会えない。

成功や出会いが次々と生まれるニューヨークで、遥斗の恋人探しの旅が始まる。

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