◆これまでのあらすじ
ニューヨーク駐在をきっかけに、付き合っていた彼女と別れることになった成瀬遥斗(28)は、マンハッタンで新しい出会いを求めることにした。ランニングサークルで出会ったマヤとは、宗教観の違いなどからあっさりと終わりを迎え、今度はマッチングアプリを始めることに。
▶前回:「話したいことがあるの…」数回デートして、そろそろ付き合えると思っていた彼女から衝撃の告白が
Vol.3 マッチングアプリをニューヨークで使ってみたら
「あぁ、疲れた…」
夜中の2時5分。
日本とのWeb会議を終えパソコンを閉じると、遥斗はそのままソファに沈み込んだ。
進めていた投資案件に陰りが見え、今後の方針を決める前に、急きょ日本チームと事前ミーティングが開かれることになったのだ。
マヤと別れて数週間。
相変わらず忙しい毎日を過ごすが、ふとした瞬間に寂しさを感じる。
明日も早いしもう寝なければと思うが、頭が冴えてすぐに寝られそうになかった遥斗は、ふとスマホを手に取った。
指先が止まったのは、マッチングアプリのアイコン。
勢いで登録したはいいが、それから一度も開いていない。
仕事の忙しさを理由に、出会いから逃げていた。
本音は、元カノの美沙にフられ、マヤにもあっさりと乗り換えられ、プライドが傷ついていた。
それに、海外での出会いは、文化の違いとともに、宗教観の違いもある。
気が合うだけでは乗り越えられない現実に直面し、恋愛が億劫になっていた。
― ニューヨークって出会いは多いのに、自分に合う彼女を探すって大変だな…。
そういえば、と思い出す。
アメリカのアプリは登録時の設定が驚くほど細かい。
基本情報だけでなく、恋愛の目的や宗教観と熱心さ、さらにアプリによっては政治観まで問われる。
アプリでの出会いは、初めから相手が何を求めているのかわかりやすく効率がいい。
最近はニューヨークでもアプリでの出会いが主流だと同僚が言っていたが、納得がいく。
遥斗はアプリを開いた。
その瞬間、自分にlikeをつけた人が画面に浮かび上がる。
相手は、アメリカ人で弁護士の女性、アリソン。
カールしたブラウンの髪を下ろし、友人に撮ってもらったような自然な笑顔が好印象だった。
プロフィールには、「Jazz and coffee lover」と書いてある。
ジャズが好きな遥斗は嬉しくなり、夜中のテンションもあり、メッセージを送ってみた。






この記事へのコメント
金正恩カットかな