「今夜は銀座で鮨なんかどう?」のひと言は昭和から続く甘美なフレーズだが、令和のいまも「銀座で鮨」は特別だ。
その理由を知らしめる老舗に『久兵衛』があり、こういった名店に通い慣れたとき、鮨偏差値が高まるだけでなく大人としてまたひとつ、成熟しているに違いない。
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最高峰が集う街で気負わず鮨を食べるという大人感
「銀座で鮨」が特別なのは街に歴史があるから。「銀ぶら」の言葉が象徴するように早くに一流が軒を連ね、最先端の流行を発信。訪れること自体がステータスで、非日常を思うとき、自然に足が向くのが銀座だった。
それは鮨も同様。明治10年には「江戸前鮨三大始祖」のひとつ、『二葉鮨』が4丁目に誕生している。昭和10年、魚河岸の築地移転も大きく、仕入れの利便性が向上。銀座鮨の特別感が確立する。
同年に創業した名店が『久兵衛』だ。かの北大路魯山人が著作で褒めた数少ない鮨店で「表構えはただ『久兵衛』と書いてあるのみ」の風情はいまも健在。そんな鮨を普段着で楽しむ大人は粋だ。
江戸前鮨190年の歴史と真価を「本場」で味わう
現代的なアレンジや装飾を排した潔さが江戸前鮨の魅力だが、それは『久兵衛』も然り。
使うシャリは白飯に穀物酢と塩のみ。握りにするとネタの旨みが最大限に引き上げられていて感動する。魚を美味しく食べる、この一点に知恵のすべてが集約され、ネタに施す仕事も同様。
例えばヅケなら、霜降りにしたサクを6時間煮切り醤油に漬け、握る直前に1貫分を切り付ける。
穴子はツメだけでなく、塩も同時に提供する新しさも追求。客の望みを最優先にした結果で、必要ならば変化も厭わない。
こうした前進を積み重ねて一流を堅持してきた鮨をこの地で味わえば、その美学に心打たれるはずだ。
いまある“軍艦”はなんと『久兵衛』から始まった!
いまや鮨店では一般的な「軍艦巻き」は初代・今田壽治さんの発案によるもの。昭和16年頃、常連が北海道からうにを持参し、握ってほしいと頼んだところから誕生した。
海苔のパリッとした食感を損ねないよう手渡しで提供する。
この街ならではの職人たちの誇りと心意気が小気味良い
名店が集結する分、銀座には多くの鮨職人がいる。鮨の激戦区になるにつれて、職人の技量もおそらく国内最高峰に。『久兵衛』に行くとそれはよく分かる。
本店と新館を合わせて120もの席があり、つけ場に立つ職人だけで10名以上在籍するが、どこに座っても居心地の良さは同じ。
「各人に基本的な持ち場はございますが、誰がどこに立っても同じ仕事ができます」と3代目の今田景久さん。
いつ行っても変わらない安心感が育むのは顧客との信頼関係で、こうした絆を代々の職人たちが繋いできたから、この街のブランド力は培われた。
銀座鮨と聞いただけで、心ときめく根拠にもなっている。
『久兵衛』では、総勢40数名のスタッフが8フロア120席を切り盛り!
本店と新館を合わせて8フロアもあり、それぞれで雰囲気は異なる。カウンターだけでもイス席の個室や畳座敷など、仕様がさまざま。
表に立つ10数名の職人に加え、仲居は15名弱が在籍。総力を挙げて120席を切り盛りする。
派手に過ぎず万人を等しく癒やす、もてなしの心地良さ
「シャリのサイズはいかがいたしますか?」
初めてだと面食らうかもしれないが、『久兵衛』でこの問いは日常。常連でもないのに恐縮するが、客に余計な遠慮はさせない、その気遣いこそが老舗の矜持。
好きなネタが自由に頼める「お好み」も受け付けており、「選べる楽しさ、好きに食べられる喜びは大切にしています」と3代目。
着物姿が美しい仲居さんの流麗な所作も心がホッと和む大きな要素で目を転じれば北大路魯山人の額といった美術品が各所に飾られている。
本物を集めて誠意を尽くす、これがこの街の誇るホスピタリティ。それを理解し享受する客もまた、本物の大人なのだ。
数ヶ月、中には1年以上待つ予約困難店が多い銀座だが、『久兵衛』は運が良ければ当日の電話で入れることも。
車エビの握りは「生」か「茹で」か、好みを選ぶことができる。「生」の握りなら塩でいただくのが“久兵衛流”。
箸休めの「骨せんべい」や「大根スライス」も常連と同様にサービスで提供。
脇役についつい酒も進んでしまう!
最後に頼んでおいた「バラちらし」(¥4,860~)を受け取ったら、完璧な締めくくり。自宅でも楽しみが待っている。
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