“酒玄人の街”の印象が濃い荒木町だが、「酒を愛する大人」であればウエルカムな店も多い。
そんな店主がいる店を、荒木町を愛するデスク・嵩倉がナビゲート。
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ナビゲートするのは……
東京カレンダー編集部デスク・嵩倉伶奈
荒木町界隈に住んで11年の東カレ編集部員。今の家も「荒木町まで歩ける」のが決め手に。「楽しい大人と出会えるのは日暮れから」をモットー(?)に、肝臓と相談しながら、連日連夜、美酒美食に出合える街を探検している。
四谷三丁目と曙橋の間に広がる酒場街、新宿・荒木町。スリバチ状の起伏ある地形や、ノスタルジックな色香が漂う小径……江戸時代は大名屋敷、大正から昭和中期にかけては花街として栄え、そうした歴史の残り香が独特なムードを生み出している。
かつて曙橋に“フジテレビ”の旧社屋があったことも、この街を語る上で忘れてはならない。お膝元の荒木町には夜な夜な業界人が集い、ツウな大人たちを喜ばせる飲食店が杉大門通りや車力門通りに軒を連ねた。
腹を満たしたあとは、雑居ビルや路地裏に潜むバーやスナックに河岸を変え、深い時間まで酒を酌み交わす。そんな時代が、荒木町の美食と酒呑み文化を作り上げた。
「荒木町にいるのは、飲み方をお手本にしたくなる大人ばかり。その空気を作っているのは、心が海のように広い店主たちなんです。一見でも歓迎してくれますよ」とは、荒木町に魅せられて8年のデスク・嵩倉。
初心者に優しく、粋な店主に出会える6軒をご案内。
【1軒目/18:00 START】店主のアイデアとこだわりで、ビール以外のエトセトラな楽しみがそろっている
『Beer, etc.』
荒木町の中心にあって、肩肘張らずに立ち寄れる一軒『Beer, etc.』。
クラフトビール専門店出身という店主・鵜飼昌彦さんは、親しみやすく穏やかな人柄で、カウンターでの何げない会話も心地いい。
「自家製のパテカンをはじめ、燻製たくあんがポイントのポテサラ、トルティーヤチップスを生地にしたピザなど、つまみのセンスも抜群」と嵩倉。
間口の広い酒棚も見事だが、まずはこだわりのビールで“飲みべ”にしっかり火をつけて!
【2軒目/18:50】丁寧な仕事が光るつまみと柔らかい大将の笑顔で、最高の“おこのみ”鮨に
『継ぐ鮨政』
ビールで喉を潤したら、お腹を満たしに評判の鮨店へ。
創業16年目の『継ぐ鮨政』はおこのみとおまかせを選べる、町寿司風情が漂う一軒。
まぐろの仕入れは豊洲の仲卸「石司」から。
定番の握りから「焼きネギトロ巻き」といった創作メニューまで「ちびちび呑みたくなる気の利いたつまみの豊富さも、酒好きたちに支持される所以」と嵩倉もうっとり。
「イワシのなめろう」(¥1,800)は、刻んだ青唐辛子がアクセントに。
物腰柔らかな大将の周嘉谷正吾さんが醸す居心地の良さと、こだわりの逸品が気分良く酔わせてくれる。
【3軒目/20:45】荒木町に集う大人たちが、思い思いの一杯を楽しむこの街の休憩スポット
『Bar 橙』
鮨を満喫し、小休憩に訪れたのは『Bar 橙』。荒木町の玄人たちが徘徊する、小さき酒場がひしめく路地裏に佇む。
暖色の土壁とローチェアが落ち着く空間で味わいたいのが、旬の果物を使ったカクテル。
果物を選んで酒の好みを伝えれば、とっておきの一杯を作ってくれる。
「店主・田中良樹さんのつかず離れずの会話と距離感が心地良い」と嵩倉が言うとおり、連日カウンターに通う大人たちを癒やしている。
■店舗概要
店名:Bar 橙
住所:新宿区荒木町9 美舟ビル 1F
TEL:03-3356-8350
営業時間:16:00~26:00
定休日:不定休
席数:カウンター10席
【4軒目/21:55】大阪弁の明るい店主がなにわのつまみとお出迎え!ここは荒木町の“リトル大阪”
『居酒屋 なにわ』
軽くつまみながら一杯飲みたい4軒目は、スナックが入居する雑居ビル最奥に潜む『居酒屋 なにわ』にチェックイン。
店名よろしく、くいだおれ太郎グッズにお笑いのポスターなど、店内は関西色満載!
鉄板焼きの有名店出身の店主・楢原吉則さんが作る、粉もんや肉吸いなどメニューにもなにわ節が炸裂。
大阪弁でもてなす飾らない接客が、明るく楽しい。
大阪名物の「ガリサワー」(¥650)と「とん平焼き」(¥950)は鉄板の相性。
玉子、ネギ、豚のシンプルかつ王道な誰もが好きな味わい。
関西人の嵩倉いわく「新喜劇が流れているのもポイント」で、まさに荒木町の“リトル大阪”なのだ。
■店舗概要
店名:居酒屋 なにわ
住所:新宿区舟町4-1 メゾンド四谷 105
TEL:03-4291-2322
営業時間:18:30~LO23:30(日祝18:00~)
定休日:月曜、第1・3火曜
席数:カウンター8席、座敷10席
【5軒目/23:00】ピリ辛なぢゅんワールドは、唄いたい人も喋りたい人もとことん楽しめる!
『カラオケBar ぢゅん』
酔いも回り歌いたくなったら、2階の紫の看板を目印に扉を開けるべし。
カウンターでにこやかに出迎えてくれるのはママのぢゅんさん。カウンターに飾られた赤べこやチラシを折ったお菓子の殻入れが、おばあちゃん家のようなアットホームな居心地の良さ。
「ママの『うちは夜の心療内科よ♡』に撃ち落とされた」と嵩倉。
劇薬さながらの愛ある辛口トークを求めて、恋愛相談や“愚痴り”に訪れる客も多く、夜が更けるほどに熱気は高まる。
■店舗概要
店名:カラオケBar ぢゅん
住所:新宿区舟町4-1 メゾンド四谷 2F
TEL:非公開
営業時間:20:00~26:00
定休日:土曜、日曜、祝日
席数:カウンター8席、テーブル5席
【6軒目/24:30】メニューはなんと30以上!26時までのイタリアンは近隣シェフたちの深夜食堂
『Sole di Italy』
熱唱したらなんだかお腹がすいてきた。そんなとき、テッペンを過ぎても美食にありつけるのが荒木町の懐の深さ。
『Sole di Italy』では、都内イタリア料理店で修業した店主の小林 到さんによる、本格的な南イタリア料理を26時まで楽しめる。
嵩倉は「ひとり分のピッコロサイズにできるメニューがあることに愛を感じる」とか。
近隣の飲食店スタッフたちも、仕事終わりに飲みにきて集うことが多く、まさに荒木町の“深夜のイタリア食堂”として賑わっている。
東京カレンダー編集長・日紫喜が通う、バー『猫目』で体感する文化の香り
2001年、私は編集者となった。お茶の水に会社があり、タクシーを使えば一番近い飲み屋街は荒木町だった。
まだ出版業界も景気が良かったから、先輩に連れられ『名門』に行き「エリマキらーめん」で〆る、そんなどんちゃん騒ぎな夜を幾度となく経験した。車力門通りに小粋な九州料理店があって、そこで「酢もつ」「一口餃子」「焼酎」を覚えた。
街全体が暗くて、でも粋な大人が集まっていて、閉ざされているわけじゃないけど、ちょっと敷居は高くて、そんな街の雰囲気は、2025年の今も変わっていない気がする。これほど変わらない街は、東京の中でも稀有な存在かもしれない。
そんな荒木町に久しぶりに行く機会があった。23年に開店した『猫目』は、作家と編集者、そしてマスコミ関係者、さらには芸術家が通う文壇バーだ。
オーナーの瀬尾佳菜子さんは、老舗文壇バーで働いた経験のある生粋の人。お話をしていると、作家とのエピソードが次々に飛び出てくるが、決して限られた客層だけを望んでいるわけではないという。紹介制でもない。本来、バーは肩書を外して楽しく飲む場だからと。
ただ思う、職業や会社名を伏せて、丸裸なひとりで飲む方が自身の経験値、文化度が問われる気がする。50歳を目前とした私も、なんだかまだ、ここでは酔えない。
成熟した大人が最後にたどり着く街として、荒木町も含む「四谷三丁目特集」を刊行したことがあるが、今になってその言葉の重みを知ることとなった。
■店舗概要
店名:猫目
住所:新宿区荒木町3-6 第三ハルシオン 3F
TEL:非公開
営業時間:19:30~24:00
定休日:日曜、祝日
席数:カウンター8席、テーブル14席
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