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表紙カレンダー Vol.141

吉岡里帆と西麻布をナイトホッピングしたら、32歳の女性としての本音が見えた!

1990年の完成以来、年を経るほどに存在感を増し、西麻布の夜を艶やかに彩り続けてきたビル「THE WALL」。

その一角で高感度な大人を憩わせる2軒を、女優・吉岡里帆さんと一緒に巡った。



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「自分自身の私生活を本質的に彩ることこそ真のラグジュアリー」

吉岡里帆

まずは建物の1階にあるオルタナティブスペースのカウンターバーでナチュラルワインを。「天井が高くて開放的。デザインへのこだわりが随所から感じられて気持ちがいい」と吉岡さん


ご本人いわく、「あの時は25歳。東京に拠点を移して3年しかたっていなかったから西麻布の街がやけにキラキラしているように見えて、カメラの前で必死に背伸びをしていました」。

だが、7年の時を経て32歳になった現在は、フラットに楽しめるようになったらしい。

「行きつけの店もできて、緊張する場所からリラックスできる場所に変わりつつあります。

実を言うと、つい最近もこのエリアに食事をしに来たばかり。体に気を使う母を喜ばせたくて、一緒に精進料理のお店へ。中にお庭もあって、とっても素敵でした。

きらびやかなお店が多いイメージでしたが、実際はいろんな表情を持っているんですね」

地に足がついて視野が広がった吉岡さんは、こうも話す。

「経験を積んで自分にとっての心地よさが分かってくると、単に高級だからとか華やかだからとかいう理由で憧れることがなくなりました。

他の誰でもない私自身の生活に彩りを与えてくれるとか、ご褒美感をもたらしてくれるとか、そういうことこそが本当のラグジュアリーなのではないかと思っているところです」

思慮深いひとである。これまで本誌のインタビューに応じた時も切れ味鋭い発言を繰り出し、物事を深く考える様子をうかがわせてきたが、その人柄は健在だ。

昨年は映画『正体』で第48回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞するなど高い評価を受けたが、それも並々ならぬ覚悟で役に没頭した結果だろうと推察することができる。

守られる側から守る側へ。俳優業10年目を迎える吉岡里帆のいま。


東京カレンダーは社会人10年目にあたる「32歳」という年齢を大人として新たなステージに立つターニングポイントと捉えているが、まさにその立場になった吉岡さんは、今、仕事とどのように向き合っているのだろうか。

俳優業に取り組む上で意識していることを尋ねると、今年3月まで放送されていたTBSの日曜劇場『御上先生』で国語教師役を演じたことを挙げて、こう言った。

吉岡里帆

片手で食べられるカジュアルさと、バンズに見られる遊び心に刺激されて、自然に楽しげな表情を繰り出した吉岡さん。「見た目に反した本格的な味わいにもすっかりやられました」


「生徒役である10代から20代の方々と現場でご一緒して実感しました。私は守られる側から守る側になったのだ。次の世代が現場で安心して伸び伸びとお芝居できる環境作りを、大人の俳優として率先してやらなければいけない、と。

振り返ると、自分が駆け出しの俳優だった時、撮影前によく緊張でガチガチになっていたところを、先輩に声をかけてもらったことで随分と救われました。これまで自分がされて嬉しかったことを、これからは後輩のためにできるだけ実践していくつもりです」

では、自分自身の役の掴み方についてはどうだろう。年齢を重ねて経験や知識が増えると、メリットもデメリットも出てくるのではないか。

吉岡さんは次のように語った。

「実年齢が上がり、若い世代の価値観にピンとこなくて不安に思うことが増えました。凝り固まるのは表現をする上で良くないことなので、インプットを意識的に増やすようにしています。

ひとは慣れたものに囲まれている方が落ち着くのかもしれませんが、ひとの心を惹きつけて動かすエンターテインメントに関わるのなら、予定調和の環境に安住することなく、今、何が求められているのか、なぜそれが求められているのか分析する必要があるし、そういう姿勢を大切にしたいです」

仕事をする上でのモチベーションも変わったという。

「前までは自分のことに精いっぱいで、“吉岡里帆”という個を確立させることに燃えていました。でも、最近はどういう作品を残すべきか、自分の仕事がどのように社会貢献できるのか考えるようになりました」

だから、仕事の選び方も「自分が楽しくやれるかどうかではなく、観てくださるひとにプラスになるか考えて出演を決めるようになった」そうだ。

「ひとの心に永久に残る映画作りを私は決して諦めたくない」


そんな吉岡さんが主演する映画のひとつがこの8月29日から劇場で公開される。累計発行部数が150万部を超える眉月じゅん氏の漫画『九龍ジェネリックロマンス』(集英社・週刊ヤングジャンプ連載)の実写化だ。

ひと足お先に試写を拝見したのだが、古い街並みが印象的な世界観で紡がれた映像はノスタルジーに溢れ、切なさを掻き立てる。

見た目が同じ“ふたりの鯨井令子”を演じた吉岡さんは「精神年齢の違いを表現するのに悩んだ」そうだが、見事に繊細に演じ分け、ファンタジー要素のあるストーリーに説得力を与えた。

そして、この作品に出演したことで改めて映画というエンターテインメントの“面白さ”に目覚めたようだ。

吉岡里帆


「私、映画館でいい作品に出合うと、よくメモをするんです。グッときたシーンを後から思い返せるように。

今の時代、面白い動画はSNS上でたくさん見つかるし、そういうものがエンタメとして時代の真ん中を歩いている感じも否めませんが、簡単にスクロールされてしまう危うさもある。

それに対して暗く閉ざされた空間で2時間、3時間を過ごさせる映画は、心の奥に深く入り込む可能性を秘めています。いい作品なら、観たひとの心で永久に生き続けられる。私は俳優としてそれを実現することを決して諦めたくはありません」

吉岡さんは毅然としていた。その姿は実に頼もしく、彼女が映画に出続ける限り、映画というマジックに恵まれるはずだと確信するのだった。

■プロフィール
吉岡里帆 1993年生まれ。京都府出身。女優。2015年、NHK連続テレビ小説『あさが来た』に出演したのを機に人気を博す。最新作は映画『九龍ジェネリックロマンス』。26年放送のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』にも出演予定。

■衣装
ワンピース(参考商品)、シューズ¥218,900〈ジャンヴィト ロッシ/ジャンヴィト ロッシ ジャパン TEL:03-3403-5564〉、ピアス¥289,000、リング¥399,000〈ともにカジタ/KAJITA JEWELLERY SALON TEL:03-6805-1684〉


▶このほか:「ファンの声が“1列目”を目指す意気込みに」乃木坂46・一ノ瀬美空が明かす、初フロントの決意とは



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