Q2:映画デートの正解は?
こうして、約束をしていた映画デートの当日。もちろん先にオンラインでチケットを購入し、真ん中の列の中央の座席を押さえた。
映画を観るには一番の席だろう。後ろとか端のほうが人目につきにくいからデートには良いかな?と思ったものの、観るからにはベストな状態がいい。
映画館が入るビルの1階で待っていると、あずさがやってきた。黒のワンピースは肩が出ており、夏らしく軽やかでとてもよく似合っている。
「じゃあ、行きましょうか」
「チケット、ありがとうございます」
「最高の席、用意しておきましたので」
こうして映画館へと向かい、二人でポップコーンと飲み物を買って席へ着く。
「大貴さん、ポップコーンの味は何派ですか?」
「僕、実は映画は集中したい派で。普段は何も食べないんです」
「え?そうなんですか!すみません、なんかお付き合いさせちゃって…」
「いえいえ、今日はデートなので。ちなみにポップコーンはキャラメル派です」
そんなポップコーンの話題で盛り上がっているうちに、映画が始まった。
◆
約2時間半の大作の映画はとても興味深い内容で、エンドロールが終わってからも、僕はしばらく席から動けずにいた。
「大貴さん、そろそろ出ませんか?」
「あぁ、そうですよね。ちょっと色々と考えちゃって」
「そうですね。なんか、ズーーーンっとくる映画でしたね」
こうして外へ出たものの、映画の内容がかなりシリアスだったため、なんとなくお互い静かになって歩く。
「…ちょっと気分転換に、お茶でもしますか?」
「そうですね」
ただ週末の銀座はとても混んでおり、どこへ入っても満席だった。いくつか銀座界隈のカフェを回ってみるものの、目ぼしいところはどこも待ち時間がある。
「なんか…すみません」
「全然です。週末の銀座は混んでいるから、仕方ないじゃないですか。私はどこでもいいですよ。こことか、空いてそうじゃないですか?」
「うーん、せっかくなら行きたい店がいいなと思って」
結局最後に辿り着いた、銀座8丁目にあるカフェでお茶をすることになった。そして席につくものの、暑さのせいか、若干静かになっている僕たち。とりあえず、互いの感想を言い合うしかない。
「あずささんは、全体を通してあの映画、どう思いました?」
「うーん…すごく深かったですね」
「最後のシーンの意味、僕的に考えたんですけど」
「あのシーンは、意味不明でした」
「そうですか?」
映画のラストシーンに関して考察を議論しているうちに、あっという間に時間は過ぎ、18時前になっていた。
「あずささん、今夜のご予定は?良ければこの後、お食事でもいかがですか?」
「行きたいのですが、今夜は約束があって…」
「そうですよね、土曜の夜ですもんね。失礼しました」
「いえいえ、またお願いします」
こうして、僕たちは会計を済ませて外へ出た。
だが結局、このデート以降会えていないし、なんとなくお互いに気まずい雰囲気が漂っている。
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女がデートで思ったことは?
この記事へのコメント
「いつにします?」
普通、どの映画ですか?とか聞くと思う。多分、今回の映画はあずさにとっては難しくてもはや意味不明なエンディングだったって事だけど。ここで多少の意思表示はしてもいいのに。「初デートだからもっと爽やかなのが観たいな、これとかどうです?」みたいに。
週末の混雑時はどこでもいいから入りたかったあずさ vs せっかくだしステキなカフェじゃないと連れて行きたくない大貴....