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30歳になりまして Vol.15

「このままではよくない…」元カレと曖昧な関係が2ヶ月続いた結果、31歳が下した決断とは



そして、また春が来た。

私は会社終わり、原宿駅に入る前に代々木公園に立ち寄る。桜は、4月の頭なのにもう葉っぱが目立っている。

そんな今日、私は同期の誰よりも先に31歳になった。

ダンス部のみんなや、前にいた会社のメンバーから「おめでとう」の連絡が続き、気分が満たされる。

― 今年の誕生日は、落ち着いた気分だな。去年は30歳という数字にすごく焦ったけれど。

不思議なことに、去年のほうが結婚への焦りを感じていたように思う。今年はただ1つ年齢が増えただけ、それ以上でも以下でもないというような感覚だった。


思えばこの一年。

結婚というものに突然執着心を覚え、アプリや結婚相談所でもがいてみても進展はなく…。そんなときに現れた蒼人と、迷いながら付き合いはじめた。

蒼人は、温かくて、かっこよくて、素敵な人だった。

なのに私は「結婚」というフィルターを通してしか彼と向き合えず、不満を垂れ流した。

なぜ、私の焦りをわかってくれないの。本当に大切に思ってるなら、寄り添ってくれてもいいのに。そんな不満ばかり。

「なんか、恥ずかしかったな。蒼人といたときの私」

過去を清算してしまいたい。そんなふうに思ったとき、スマホがふるえた。

『蒼人:誕生日おめでとう。今度、どこかで会えない?』


蒼人とは別れた直後も、同棲解消に関する事務的なやりとりをしていた。また、転職を決めたときも、人事部の彼はすぐに連絡をくれた。

気まずい雰囲気はなく、フラットな関係に戻った気でいたが――。蒼人から「会いたい」と言われて、少し息があがる。

代々木公園は夜なのに人通りが多く、ランニングしている人や、犬の散歩をしている人。ダンスの練習をしている人などがいた。いろんな人をぼうっと眺めたあと、私は蒼人にメッセージを送った。

『菜穂:私も、ちょっと話したい。来週新橋で会おうか』

この記事へのコメント

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No Name
ビールってスパスパと飲む? タバコや葉巻を吸うなら分かるけど😂
2025/08/06 05:2930Comment Icon3
No Name
年収約1千万(だったよね?)の主人公なのに、バリキャリと言われてブチギレたり、周りに既婚が増えたら謎に焦って結婚に執着したり、牛丼をかき込んだ社食で泣いちゃったり、社内恋愛を公表したら結婚できるかもと思い込んで結局すぐフラれて居心地悪いから転職とか。 あまりに幼稚で仕事出来る素敵女子とはかけ離れていた。なので菜穂の好感度は一向上がらず終い。そして何とも安易な復縁に失望。
2025/08/06 05:4626Comment Icon2
No Name
失恋して気分転換に転職したら若手が多くて結婚への焦りが薄れてきて反省? 何だろう、描き方は雑なのに一年経ってまた春が来て梅雨が来て....復縁しましたって、すごくつまらない話。非常に残念。
2025/08/06 05:2321Comment Icon1
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30歳になりまして

「30歳」

その数字は、女性の心に妙に重くのしかかる。

「年齢なんてただの数字」と本人は思っていても、世間がそれを許してくれない。

職場では、つい最近まで若手だったはずなのに、いつのまにか中堅どころになっている。

マッチングアプリだって自動的に30歳になった途端に「いいね」が減った気がする。

気持ちは追いついていないのに、30歳という年齢の重みがが急にのしかかる。

大手IT企業のマーケティング部で、課長職を担う桜庭菜穂は、30歳になって迷いが生じ始めた…。

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