日差しに夏の気配をまとい始めるこの季節、街には新しい風が吹き込まれている。
オープンしたばかりのレストランには、その空間、その料理に“いま”の感性が宿る。誰かに教えたくなる珠玉の新店をご覧あれ。
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街場のレストランから一流ホテルの料理長に異例の抜擢。見事ミシュランの星を獲得したのち、2021年に独立。
星を獲り続けてきた宮崎慎太郎シェフの『アマラントス』が、この3月、赤坂から銀座に移転。装いも華やかにリスタートした。
森田恭通氏が手掛けたバカラで演出した、永久に輝き続ける空間
隠れ家のようなビルの9階、カウンタースタイルの華やかなダイニングは森田恭通氏の手によるもの。
店名の由来になっている、アマランサスの花をイメージしたバカラの皿が天井や壁にあしらわれたエレガントな雰囲気に、いつしか気分も高揚していく。
よりエレガントにより繊細に昇華!ひと皿に研ぎ澄まされた感性を
ラグジュアリーな中にも気品漂う空間同様、目の前で仕上げられていく皿の数々も実に艶やかだ。
例えば、レアに仕上げたオマールエビにチュイールとエディブルフラワーをあしらったひと皿は、まるでお菓子のような愛らしさ。
カルダモン風味のソースを合わせ、ハーブオイルで香りに輪郭をつける手腕もさすがだ。
「ピジョンのロティ グリーンアスパラガスのピューレ」。
ラカン産の鳩は、火の通り具合の異なる胸肉と腿肉を別々の調理法で提供。胸肉はロースト。腿肉はコンフィにした後、ジャガイモで周りを包み、カリッと揚げてある。
「メレンゲ カフェ ライム」。
独自の手法で編み出したメレンゲは宮崎シェフのスペシャリテのひとつ。中にはコーヒーのムースやライムのソースを忍ばせている。
パン代わりのシフォンケーキサレや唯一無二のメレンゲのデセールなど、パティシェ経験を持つ宮崎シェフならではの美味をぜひ。
毎週のように新店の開店情報が聞こえてくるジャンル「鮨」の中でも、とびっきりの注目株と言って差し支えない大型新“店”が、麻布十番に華々しくオープンした。
『みつい』店主の三井 祥さんは、ミシュランの三ツ星にも輝く銀座の名店『青空』の高橋青空さんのもとで腕を磨いたのち、西麻布『鮨祥』では店主を任された、まごうことなき実力派。そして、機は熟した。
この5月、自らの名字を店名とした店を、激戦区に立ち上げたのだ。
凝った酒肴から正統派の握りへという流れに身を委ねる
おまかせコースでは、奇をてらわずにオーセンティックなつまみと江戸前鮨を掘り下げている。
前半は三井さんと『トラットリア シチリアーナ・ドンチッチョ』出身と異色の経歴を持つ料理長・君波真吾さんとで構成。緩急をつけた内容が巧みだ。
そして、本編ともいうべき握りでは、三井さんが吟味した鮨ネタと丁寧な仕事を存分に楽しめる。
目下、三井さんの“推し”ネタである「ナガスクジラ」。
クセはなく、もっちりとした食感と肉さながらの濃厚な旨みが特徴。
つまみの中でもとりわけお酒が進む「トラフグ、甘海老の塩麹と古酒漬け、あん肝ポン酢」。
艶やかで厚みのある「とり貝」は、信頼を置く貝専門の仲卸から届いた兵庫・室津産。
とろける脂とほどける酢飯に、心高まる
特に“鮨屋の華”まぐろは、中トロ・赤身のヅケ・大トロが連続して登場し、華々しい。存在感がありつつもキレの良い酢飯は、故郷・長野の高地栽培のコシヒカリ。
コースを通じて「鮨を食する喜び」に浸れる正統派の味わいに、感嘆させられること必至だ。
美しきひと皿が日本料理の新たな可能性を切り開く
アーティスティックな石とガラスのテーブルが出迎えてくれる空間も斬新ならば、シェフの伊東 彰さんが編み出す料理にも独自のセンスが光るのが『東麻布いと』だ。
伊東さんは、創業190年余の老舗日本料理店『なだ万』グループに4年在籍。王道の和食を習得した後に、東京ミッドタウン『HAL YAMASHITA』では、山下春幸さんが提唱する“新和食”に触れる。
その後香港に渡り、日本食レストランを展開する「Global Link Retail Management」の肉料理店で腕を振るった。
例えば「クロムツのパイ包み」に添えるのは、通常バターや白ワインで仕上げるブールブランソースを、昆布だしと魚介の出汁、白味噌や米酢といった和の素材で表現したもの。
また「大隅産炙り烏賊のフリット」は、香港の人気店『The Chairman』の名物「タロイモの蜂の巣揚げ」をアイデアソースに、衣に大和芋を使用。
いずれも伊東さんの経験値と柔軟な発想が光る。趣を異にした、新たなフェーズの和食を。
密やかな扉の向こうで、芳しき誘惑が待っている
昨年7月の「Shibuya Sakura Stage」の開業で、人の流れが変わりつつある渋谷・桜丘町エリア。ニューオープンもじわじわと増えていて、この『蓮華』もそう。
ただしこちら、表の通りからは店の存在が窺い知れないロケーション。あらかじめ知っていないとたどり着くのが困難な、“隠れ家レストラン”と呼ぶにふさわしい一軒だ。
店主の後藤吾基秀さんは、フカヒレ料理で知られる『筑紫樓』、そして麗しいヌーベルシノワが楽しめることで定評のある、新山重治シェフ率いる『礼華』グループに16年在籍。うち7年間は『礼華 青鸞居』で料理長を務めた人物だ。
待望の自身の店では、カウンターで料理、そしてソムリエの資格も持つ後藤さんが選んだワインを楽しめるスタイルに。
自信作のフカヒレや新味を加えた北京ダックなど、味わい深さと美的センスとを兼ね備えた品々が嬉しい。
「北京ダック」は、パリッと焼かれたアヒルの皮の上に色とりどりの野菜や揚げたカダイフをのせた状態で登場。
甜麺醤には、果物のコンフィチュールを合わせており、甘みだけでなくフルーティなニュアンスが漂う。
東京のレストランシーンに、大輪の花が加わった。
フランス料理を熟知したベテランの新境地
“厨房のピカソ”とも讃えられるフランス料理界の鬼才、ピエール・ガニェール。そんなグランシェフのもとで23年間、実に人生の半分の年数、ともに仕事をしてきたのが赤坂洋介さんだ。
今年1月に惜しまれつつクローズした、ANAインターコンチネンタル東京『ピエール・ガニェール東京店』のエグゼクティブシェフを14年間務め上げた。そして、次なるステップとして自身の城『La Maison Confortable』を麻布十番に構えた。
華やかな経歴から、ゴージャスな雰囲気のレストランをオープンされるのでは……と予想していたが小気味よく覆され、「心地良い家」という意味の店名どおりに、リラクシーな空間が出迎えてくれる。
柔らかな白を基調にしたインテリアは「気持ちが明るくなるような、爽やかな雰囲気をイメージしました」と赤坂さん。
伝統と革新、日本とフランスがクロスオーバーする
コースメニューは2種類あるが、赤坂さんの世界をフルに味わうならば、料理7品とデセール2品を存分に楽しめる「La Maison Confortable」(¥27,500)をセレクトしたい。
伝統的な料理やソースを下敷きにしながらも、食材の組み合わせ方に独自の感性が光る。
また、日本ならではの素材も積極的に取り入れ、すでに揺るぎない世界を構築している。
“Le début du voyage(旅の始まり)”と題したアミューズブーシュは、サヨリと柑橘、白アスパラガスとホタルイカ、タスマニアサーモンといぶりがっこなど、目にも舌にも楽しいフィンガーフードが。
デセールの「グリーンピース メロン」は、グリーンピースのパルフェグラッセを主軸に、赤肉メロンのポルト酒マリネなどで構成。楽しい驚きに満ちたひと皿だ。
「乳飲み仔羊 イカ クスクス」は伝統料理の新解釈。コース(¥27,500)からの一例。
“2in1”の洋食が、大人をワクワクさせる
すべてのメニューは、1枚のプレートに2種類の料理を1/4サイズで盛り合わせてある。そんな、“1/2”をコンセプトに掲げたユニークなカジュアルダイニング『1/2 [Nibun no Ichi]』が「Ginza Sony Park」の地下に誕生した。
今年、ビルディングタイプの公園として生まれ変わった「Ginza Sony Park」。“都会の余白”を標榜する街に開かれた施設というテーマにリンクさせ、あえてお腹の余白を残す“物足りないボリューム”に。
また、あらゆるジャンルのハイレベルなレストランがひしめく街、という立地を踏まえ「ここで小腹を満たしてから近隣のお店へ出かけてほしい」という。
ジャンルは、カツカレー&カツサンド、ハヤシライス&エビフライなど銀座とゆかりの深い「洋食」に。
ただし、いずれもさりげないアレンジが施され、新鮮な食後感に包まれる。
玉ねぎの皮を器にしたオニオンポタージュとサーモンマリネのコンフィの「コトコト通り」(¥1,650)は、17時以降のみの提供。
ゲストシェフによるプロデュースメニューも
「Guest Chef Plate by 渥美創太」(¥1,650)は、28歳の若さで100年の歴史を持つパリ『CLOWN BAR』のシェフに抜擢され、自身のレストラン『MAISON』も高い評価を得る、渥美創太さんが手掛けるひと皿。
ハイビスカスとビーツのソース&柚子香るデーツのピュレを添えた鴨肉のハンバーグと、ヴァプールにした卵黄や魚醤を使ったタルタルソースで味わうカキフライがセットに。
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それぞれの料理にまつわるトリビアが書かれたプレイスマットも楽しく、知的好奇心をも満たしてくれる。
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