本当に美味しい店しか残らないといわれる大阪。それは高級レストランの水準の高さにも繋がる。
そこに大阪ならではの自由な発想や豪快な造りの箱も加味されるから、エンターテインメント性も申し分なし。
つまり東カレ的ニーズが勢ぞろいしているのだ。
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1.ふたりの世界に没入させる究極の舞台で未知なる美食を
『La Kanro』@南森町
コンセプトは「男性が女性を連れていく店」。『La Kanro』と“東カレ”との親和性は120%だ。
インターホンを押してビルに入り、洞穴のようなアプローチを抜け専用エレベーターに乗ると、入口の6階に直行、カウンター席はさらに階段を上った7階。
迷宮的導線に、早くもふたりは盛り上がっているはずだ。非日常のテンションは料理でも続く。
華やかさに心躍る料理の数々に、ふたりの距離が近くなる
カウンターに立つ仲嶺淳一さんは、パリの『アストランス』や『ジャン・ジョルジュ』で腕を磨き、2013年に独立。
その経験をユニークに昇華し、アミューズから驚きを与える。
登場するのは大きなブーケ。
よく見れば八寸的に並ぶ料理は、ボルシチ、ごま豆腐、オニオングラタンスープなどと実に多国籍だ。
スペシャリテも目を見張る。
エディブルフラワーのライスペーパーの中は、フォアグラのテリーヌとオマール。見た目は可憐で食べればリッチ。
ソースはマンゴーにライムとハイセンスだ。
コンセプトはむしろ「男性が女性を喜ばせる店」かもしれない。
― Chef's data ―
2.大阪のユーモアを体現する類まれなセンスが笑顔を生む
『RiVi』@肥後橋
公園前のやわらかな空間で、シェフとソムリエのタッグに心許す
肥後橋のオフィス街から少し離れた靱公園のほど近くにある『RiVi』。
ガラス張りのエントランスを抜けて暗めのホールに入ると、波を打つダークピンクのカウンターに思わず目を奪われる。
大阪モチーフも正統派も美しく美味しくが徹底されている
供されるのは、山田直良シェフの創造的な料理の数々だ。
「人の琴線に触れる、懐かしさや新しさを帯びた料理を作りたいんです。大阪を基点に、関西と日本、日本と西洋など異なる文化の間を行き来しながら」
好例が2皿目に登場する「フォアグラ」。長細い容器はジオラマのようだ。
「森の中の古墳です」とフォアグラのムースとホロホロ鳥のラグーをサブレで挟んだ古墳にネギのパウダーを降らせ、それが苔。食べればネギの力強い香りに加え、白味噌の風味もフワリと。
フォアグラを、ニッポンの風味で、ここ大阪の前方後円墳に眠らせる、このユーモアとウィットがこちらの真骨頂か。
「ゴボウ」。スフレ生地にゴボウとポルト酒のソース。さらにゴボウのエスプーマ、ペコリーノチーズに醤油パウダー。
ゴボウの澄んだ甘みと醤油の香りが口中に満ちる。スペシャリテとなる逸品。
コース中にはパスタも登場。
こちらは、「のれそれ」。ノレソレとウルイ、菜の花のタリオリーニをオイルベースで。アゴだしとユズも忍ばせる。
果たしてコースが進むほどに、タコ焼きあり、ブリ大根あり。
一流の和洋ならぬ“阪”洋の折衷は皿に満ち、妙なる抑揚の波を打つのだ。
― Chef's data ―
3.洞窟のような秘密基地で大阪のテロワールに染み入る
『agnel d'or(アニエルドール)』@阿波座
土のニュアンスが心地良い巣のような空間で美食に向き合う
店の目印は洞窟の入口のような湾曲した壁。ごく普通のマンションや商店が並ぶ立地にあって、実に異質だ。
左官塗りのアプローチを抜け中に入ると、温もり漂う秘密基地的な空間が広がる。『アニエルドール』が、改装を終えたのは昨年春。
「料理もお皿も日本のテロワールを意識するようになって、店内も白いクロスの綺麗なレストランというより、日本のものづくりに通ずる空間にしたくなりました」と藤田晃成シェフ。
2017年よりミシュランの一ツ星を維持するフレンチだが、世界観が統一されたことで、さらに勢いを増す。
食材の未知の魅力を教える、ガストロノミックな料理に感嘆
食材への慈愛を感じるのが、同じ素材をふたつの方法で食べ比べさせる手法だ。
例えばフグと白菜。ひとつは白菜を炊いてフグのあらのゼリー寄せと合わせたタルト、もうひとつはフグのコンソメを加えた白菜のフラン。連続で食べれば香りの感じ方の違いに感性が磨かれる心地だ。
大阪といえばフグの消費が多い街だが、こんな可憐に食べられるのは同店だけ。
和牛の生ハムの中に1年熟成せた「インカのめざめ」、煮込んだ和牛のテール、ビーツのスライスが入る。周りのソースは和牛のコンソメ。
「二ツ星に上げたい」とのシェフの言葉を、その料理が肯定するはず。
― Chef's data ―
4.大阪から照準を世界へ。比類なき中華の独創性たるや
『AUBE』@西天満
ビルの2階に広がる異世界。圧巻の意匠に目を見張る
怒涛の意外性で魅了する中華、それが『AUBE』である。
まず、店へと続く階段が香港のバーのような赤い照明。ウェイティングスペースの先にあるディナーの舞台は、左官職人が仕上げた黄金の天井が圧巻のカウンターだ。
中華という概念を進化させた、他のどこにもない逸品が徹頭徹尾
東さんは世界中国料理大会で3位になった経歴をもつ。
「彼らと肩を並べるなら真似でなく独自性。日本の食材を生かした料理を」と、関西を中心に全国の生産者を訪れ、唯一無二の味を生む。
例えば誰もが知る北京ダックも自由な発想で生み出す。
フレンチのように鴨と柑橘を合わせたかと思えば、台湾で見た“ダックと米”に、キャビアやいちごを合わせるなど独創的。それでいて、王道レシピの甜麺醤も入るので着地点はなじみ深い味だ。
コース内で2種登場する「北京ダック」。
上は1時間揚げた京にんじん、金柑とローズマリー。フランス料理の王道である柑橘と鴨の組み合わせに、にんじんと柑橘の相性のよさも掛け合わせている。
下はキャビアと酢飯、いちご、バジル。蒸すことで香りを出したいちごは、酸味が効いた果実のソースのような役割。奈良の「イチゴ太郎」の古都香を使用。
14種以上のバリエーションがあり、季節によって内容が変わる。コース(¥38,500)より。
炊いてから焼く「フカヒレのトマトチリソース仕立て」。
旨みの強い高槻産トマトがある時のみ作る一品で、サルサのような味わい。
そんな理にかなった遊びができるのは、東さんが中華の古典に長けているだけでなく、世界の料理から着想を得ているから。
大阪でしか味わえないこの中華ガストロノミーは、美味しさと刺激を兼ね備えている。
― Chef's data ―
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