2025.03.13
TOUGH COOKIES Vol.4港区・西麻布で密かにウワサになっているBARがある。
その名も“TOUGH COOKIES(タフクッキーズ)”。
女性客しか入れず、看板もない、アクセス方法も明かされていないナゾ多き店だが、その店にたどり着くことができた女性は、“人生を変えることができる”のだという。
タフクッキーとは、“噛めない程かたいクッキー”から、タフな女性という意味がある。
▶前回:「友人の結婚式でスピーチなんてしたくない…」32歳女の誰にも言えない本音とは
Customer2:東条みず穂(21歳)【裏アカ発覚…炎上して活動自粛中の有名女優】前編
「あ、またネットニュースになってる。5億円かぁ~。こういう賠償金ってマジ事務所が払うのかな。どう思います?ともみさん」
ルビーはそう言って、自分が見ていた画面をともみに見せた。そのタイミングで「へい、おまち~」と2人分の豚骨ラーメンが運ばれてくる。
「にんにく抜いといたからね」という大将の声に「ありがとぉ&いっただきまぁす!」とテンションを上げたルビーは、早速スープをすする。
「んぁ~うんまい!」
BAR TOUGH COOKIESがオープンしてから今日で1週間。昨日までに来た客は3組ほど。店が終わる時間に必ず訪ねてくる光江に、その日の接客内容を報告するのが決まりとなりつつある。
秘密保持契約書には、店側で秘密を保持できるのは3人と書かれている。ともみとルビー、そしてオーナーである光江だ。
光江は黙って報告を受けるだけで、指示も注意もしない。自分はこのままでいいのだろうかとともみが聞いても、「いいんじゃないか」とほほ笑むだけ。
だからともみは文字通り手探りの日々だ。接客中に、こんな時光江さんならどうするだろうという意識がよぎることが何度もあった。まるで“店長のコスプレ”をしているようだと少し情けなくなる。
今日最初の客の予約時間は21時。開店準備を終わらせた19時半頃に、今すぐ豚骨ラーメンをバリカタで食べたくなったとルビーは駄々をこね始めた。ともみは、これから接客なんだからにんにくは絶対ダメという条件を出し、店から歩いて5分、西麻布交差点近くのラーメン屋にきていた。
半ラーメンで精一杯のともみと比べて、すでに2人前の水餃子をペロリと平らげたあとだというのに、テンポ良くラーメンを吸い込んでいくルビーは食べることが大好きな、いわゆる痩せの大食いだ。
ポールダンサーとしては、もう少し体に凹凸があっても良かったのに胸もお尻も全く育たなかった、とルビーはいつも笑いながら嘆いている。
『裏アカが発覚し大炎上した女優・東条みず穂。賠償金は5億円以上とのウワサの中、独占取材!スタッフへのパワハラ疑惑も浮上し、近しい関係者が暴露した清楚系人気女優の恐ろしい裏の顔とは?』
ともみは、ルビーから差し出された携帯画面の中に並ぶそれらの文字に、心の中で小さなため息をつく。この“東条みず穂”こそ、この後ともみが店長を務めるBAR TOUGH COOKIESにやってくる客だ。
週刊誌の有料記事がSNSでリツイートされまくっているようだが、この手の“近しい”関係者というものは、ほとんどの場合ちっとも近しくはないことをともみは体験から知っている。
「こういう記事ってどこまでほんとなのかなぁ。ともみさんって元業界人だから、その手の事情にも詳しかったりします?」
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