年収4,000万男子の恋愛事情 Vol.10

ズルい男の常套句。「将来は約束できないけど…」と前置きして、女と付き合う彼の本心とは

「ミナちゃんの言う通り!翔馬は、香澄ちゃんとのことをハッキリしないと」

「だよなぁ。わかってるんだけどさ」


作品をいくつか購入したいと思っていたのだが、元太と喋っていると絵画に集中できない。

「でもさ、元太でも嫌だろ。香澄がミナにしつこく何の仕事をしているのか追求している場面見ちゃったら」

香澄がミナと言い合い…というか、一方的にミナにけしかけた事件のせいで、俺の中の香澄株は暴落した。

「まあね。でも酔ってたのもあるだろうし、どこまで許容するかだろうな」

「うん…」

香澄への気持ちは冷めているのに、彼女から連絡があると返事をしてしまう。そんな俺の中途半端な態度がよくないのもわかっている。

「翔馬、このあとどうする?その辺でコーヒーかビールでも飲むか?玲ちゃんとの待ち合わせが18時だから、それまで一緒にいてやるよ」

「あぁ、そう。俺との予定の方が、おまけだったってわけね」

「へへへっ」

俺のアシストで玲と付き合うことになった元太は、わかりやすく浮かれている。

付き合いたてが一番楽しいのは知っているので、正直かなり羨ましい。

結局、丸の内まで移動した俺たちは、仲通りのテラス席があるカフェでホットワインを飲むことにした。

「翔馬はさ、経営者という肩書に胡座をかいて、いつもスカしてて、上から目線なのがダメなんだろうなぁ。ちょっと顔がいいからってさ〜」

元太はワインを一口飲むと、俺に説いた。

「おい、最後にひとつだけ褒めたって、悪口の帳消しにはなんないからな」

「バレた?すまんすまん。ていうか翔馬ってさ、男たちを束ねて言うことを聞かせるのは得意なのに、女の子に対しては昔から消極的だったろ。

だからなのか、来てくれる子の中から選ぶクセがついてる気がするんだよなぁ」

「……」

図星すぎて、反論できなかった。


これまで女性に困ったことはなかったし、モテる方だとは自負してきたが、元太の言うとおり勝ち試合しかしてこなかった。

「でもまぁ、モテない男からしたら羨ましいけどな。こっちはチャンスが少ないから、一本釣りしかできないんですわ」

ガハハと笑う元太は、心から幸せそうに見える。

8年付き合った元カノには他に好きな人ができて、振られてしまったようだが、それは元太にも原因があったと反省していて、二度と同じ間違いはしないと心に誓っていた。

「あ、玲ちゃんそろそろ着くみたいだから行くわ。えっと…いくらだったっけ」

「いいよ、払っておくから。待たせちゃ悪いからもう行けよ」

相変わらず財布を出さない元太を笑いながら見送ったあと、俺は2杯目のホットワインを飲み切ってから香澄に連絡をした。

『翔馬:週末会えない?』

この記事へのコメント

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No Name
馬っ馬な男だわ、翔馬!!
2024/11/15 05:1729返信1件
No Name
ここまで言われてNOと言える男が果たしてどれだけいるだろうか

誠実な男性の殆どがNOと言えるかと思う。外見はタイプでもいじめ体質で性格が腐ったような人と、一時的とは言えよく付き合う気になれるなぁ。外見はタイプじゃないけど内面に惹かれて付き合っていくうちに好きになる事はあるけど、今回は逆だし絶対直ぐ別れる。結局ミナで落ち着くパターンか。もうストーリー展開がつまらな過ぎて恥ずかしくなってくる。
2024/11/15 05:2022
No Name
現実の世界では、香澄のように酔って暴言吐きミナを傷つけた日の言い訳を並べて、すがりつくような態度で「そばにいて欲しい」とか言っても、きもっと思われるだけ。 翔馬も“香澄株大暴落” して断るつもりで来たんじゃ?ミナに邪険にされたからって🧐 ちょっと付き合ってやっぱり好きになれないやって簡単に別れる展開は返って女性を傷つける事になるの、分かってない。
2024/11/15 06:0320
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